自治会が実施する避難所への避難訓練に関して意見をいただきました。
「自治会で避難訓練を行うのは自助と共助です。どちらも自治会として大事だと考えているので実施していますが、自治会でできない分野があります。それは避難生活における医療です。看護師やケアマネージャーの派遣をしてもらわないと対応できない問題があるので、県行政として考えて欲しい課題です。災害関連死の比率が高いことから、避難所生活での医療、精神的なケアが必要だと思います」という意見です。これは宮地区連合自治会長会議での議論を受けてのことです。
これまで避難所設備の充実や必要な備え、運営に関する議論は交わされていますが、医療や介護に関する議論はなかったと思います。
そこで現状について話し合ったところ、対応できるしくみが整い始めていることが分かりました。有名なものはDMAT、災害派遣医療チームで、被災地への医師や看護師、薬剤師など専門家チームの派遣です。他にも主に4つの専門家チームがあることを知りました。
- DWATは災害福祉支援チームで、社会福祉士、介護福祉士、介護福祉相談員などの派遣です。
- DPATは災害派遣精神医療チームで精神科医師、精神保健福祉士、公認心理士どの派遣です。
- DRATは災害リハビリテーション支援チームで、理学療法士、作業療法士などを派遣するチームです。
- JDATは災害歯科支援チームで、歯科医師、歯科衛生士などを派遣するチームです。
以上の5つが、過去の巨大災害における避難生活の教訓から、専門的な支援チームとして存在している、災害関連死を防止するために必要な専門家チームです。
この中で災害関連死に関係していて驚いたのは口腔ケアの必要性です。歯磨きやうがいは毎日の生活で必要な行為ですから避難所生活でも絶対に必要です。歯磨きをしないと口の中のばい菌が肺に入る、所謂、誤嚥性肺炎を引き起こします。これは死に至るものですから日常生活で防止すべきことです。ところが避難所生活では水が大切だという思いから、歯磨きは絶対に必要ではないと思い、割愛してしまうと誤嚥性肺炎を招く危険性があります。
そう言えば先週、歯科医師から「避難所に歯ブラシと歯磨きは備えておくべきです」と指摘されたことを思い出しました。日常生活における口腔ケアの必要性の資料をいただいていたのですが、避難所生活でも必要なことなのです。
口腔に関する知識があれば、避難所生活で歯磨きは必須だと分かります。
またストレスが高くなると血栓が増えることもあり、避難所生活においてエコノミー症候群を引き起こす可能性が高まります。これらはDRATの分野ですが、この知識を得ておくことで避難所生活をする場合、運動をしようと思うはずです。
つまりこれらの予防知識を知らなければ避難所生活で災害関連死の可能性を引き起こすということです。日頃の避難訓練で口腔の知識や孤立しないための講習を行うことで、災害関連死の防止に資することが必要なのです。
現在の避難訓練は、主に避難行動、炊き出し訓練、消火訓練、救急訓練などを行っています。口腔やエコノミー症候群に関する知識、孤立しないための集団生活の方法などの知識は得られていません。阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震、そして能登半島地震で得ている知見を、今後の避難訓練や避難所生活への備えとして取り入れるべきです。
事前にこれらの知識を得ておくことは、自分と周囲の命と健康を護ることになります。このことは公助でやっていることを、自助や共助に変えておくことが可能となります。
そして避難所生活で必要なことは「食べて、動いて、参加する」ことだそうです。「食べて」は栄養を摂る。「動いて」は運動をする。「参加する」は人と話をすることです。
つまり避難所でイベントを行い集まることは意味のあることであり、避難所でいる方々が参加することで、健康維持や運動、孤立を防ぐことになるので、厳しい環境の中でもイベントは必要なことなのです。
やはり日頃やっていないことは、避難所生活でもやりませんしできません。知っていること、訓練しておくこと、自治会活動に参加することは有事において大事なことだと分かりました。
これらの視点も今回の県議会一般質問に取り入れます。
- 県議会建設委員会で令和6年度補正予算案の審議を行いました。補正予算案の議案は全員一致で可決されました。
- ライオンズクラブ理事会に出席、来月の行事予定などを審議しました。