年末の挨拶で、開業してから20年を迎える飲食店を訪ねました。オーナーさんはいつものように明るい笑顔で「片桐さん、来てくれてありがとう」と心から迎えてくれました。
時間をとって店内でしばらく懇談しました。ここで聴かせてもらった内容です。
「私はこのお店をやり始めてから20年になります。これまでたくさんのお客さんにお世話になってお店を続けてきました。辛いことも苦しいこともたくさんありましたが、お客さんとのふれあいがあったことで続けることができたと感謝しています。
今年も12月に入って、もうすぐ年末を迎えようとしていますが、こんな年末は初めてです。忘年会の予約が入りませんし、先週も今週もお客さんが来ないのです。前の通りにも人が歩いていませんし、今年の年末を寂しく思っています。予約がなくても営業を続けていますが、本当にお客さんが来てくれない事態になっています。和歌山市で何事が起きたのかと思うほどです。
店内に掲示しているメニューと価格表を見て下さい。私がお店を始めた時の価格表ですが、20年間一度も値上げをしないでお店を続けてきました。しかし材料費や光熱費が上昇しているので、値上げが続いている今年になって、流石にこの価格では仕入れなどが厳しくなり消費税の10パーセントを価格に乗せて代金として頂戴しています。本当は材料費を価格に加えたいのですが、その分を転嫁するとお客さんに悪いので消費税分だけもらっていますが、現状は維持することが厳しいのです。
しかしこれだけ通りにお客さんが少ないのは初めての経験です。12月は31日まで営業する予定ですが、どれだけ来てくれるか分かりません」という話です。
ここまでの話の途中で店内のショーケースなどを見ると、食材や飲み物をショーケースや棚にいっぱい揃えていました。「メニューに合わせて材料は仕入れているのですね」と尋ねました。
そうしたところ「お客さんが来てくれるかも知れないので、見込みで材料は仕入れています。揃えておかないとお客さんが来てくれた時に対応できないからです。無駄になるかも知れないのでもったいないけれど仕方がないことです。お正月明けも営業しますが、まちにお客さんが戻るのかどうかわかりません」ということです。
物価が上昇していること、地元では賃金が上がっていないこと、市内の景気は決して良くないことなどの原因から、多くの人は外食に費やす費用は抑えていると思います。また職場の忘年会自体が減少しているので、団体客は相当減少しているようです。
ある会社では、社長が従業員さんに「一年間、ご苦労様でした。皆さんの頑張を労いたいので忘年会をやろうと思います。費用は会社持ちなので皆さん参加して下さい」と案内したところ、若手従業員から「社長、忘年会は参加しないといけないのですか。自由参加であれば欠席したいと思います」との意見があり、結局、参加者が少なかったことから中止になったそうです。忘年会自体が今の時代にそぐわないかも知れませんが、景気低迷と社会変化と意識変化によって忘年会は少なくなっているように思います。年末の風物詩である忘年会もやがて役目を終えてしまうような感じがします。
オーナーは「忘年会や懇親会の予約はありませんが、この街でお店を開きお客さんに育ててもらったので続けますが、厳しさと寂しさがあります」と話してくれました。
このオーナーは毎年、児童養護施設に対してクリスマスの時期にお米などの寄贈を行っています。今年のクリスマスでも寄贈しているのですが、こんな厳しい経営環境にも関わらず子ども達の支援を続けていることに頭が下がります。今日も「子ども達の笑顔が見たいから」と話してくれました。少ない売り上げの中で資金をやりくりして、子ども達の支援を行っていることに敬意を表したいと思います。
「片桐さん、ありがとう、ありがとう、本当にありがとう」と何度も感謝の言葉を伝えてくれました。オーナーの温かい心が伝わってきます。僕の行為はそれほど役立つものではないのですが感謝の言葉をいただき嬉しく思っています。オーナーと会った時間は大切な時間となりました。
- 近年の人材不足に関する話し合いを行いました。これだけ人手不足だと、今の地域社会のしくみが保てるのかと思います。地方は人口減少で企業が欲している人材が確保できない事態に陥っていると思います。
- 地元の歌をみんなでつくり、それを親しみやすくて合唱できるような曲に仕上げたいと話し合いました。年末の仕事になりました。
- 今年最終の「木曜会」に参加したこと。毎月、顔を合わせている皆さんとの時間を元気に過ごしました。一人の方が「今年最終なので、もっと盛り上げましょう」と掛け声を上げてくれたことも嬉しい出来事です。