県外から和歌山市の視察に来てくれた方々とご一緒しました。
和歌山県はリゾート観光地になり得るところですが、熊野古道や高野山と組み合わせて和歌山市に誘客できる施設が必要なことと、関西空港からの交通アクセスなどの問題を協議しました。
まず和歌山市にインバウンド観光客が「ここに行く」という目的をもって立ち寄りたくなる場所が必要だということです。外国人から見ると、高野山や熊野古道は行きたくなる観光地ですが、滞在型の観光地なので和歌山市に滞在できる拠点が必要だということです。連泊可能な高級ホテルがあれば、リゾート観光の和歌山県が売り出せるということです。
併せて観光客のために関西空港から和歌山市行きの直通電車が必要だということです。和歌山県民の私達は分かっていることですが、電車を利用して関西空港から和歌山市に行く場合、JRであれば日根野、南海電車であれば泉佐野で「和歌山市行き」に乗り換える必要があります。関西空港から和歌山市まで直通の電車がないのです。これは関西空港開港の時から和歌山県から鉄道会社に求めているのですが、未だに実現していない課題です。
当時「扇風機の裏側」と表現されていたのですが、国際空港の利用者は空港から京阪神に行く人が多く、和歌山県に行く人は少ないことからこう表現されたのです。そのための直通電車がなく不便を感じている和歌山県民は多く、継続して鉄道会社に要望していますが実現していません。むしろ当時と比較するとJR阪和線も南海本線も特急や快速、急行は減少している有り様です。
これは和歌山県から関西空港や大阪行きの利用者が減少しているからであって、人口減少と高齢化などで県の力が落ちていることを示しています。利用者が減少している中で、現在の本数を維持することや関西空港から和歌山市までの直通電車を求めても、良い返事はいただけていないのです。
ですからビジネスでの利用者を増やすことやインバウンド観光客が関西空港から直接和歌山県に向かう人を増やす必要があります。鉄道会社が「利用者が減少しているけれど本数を増やす」ことは考えられないので、和歌山県が実力を高める以外に方法はありません。その方策は大型の企業誘致とリゾート観光地を目指すことです。どちらも難しい課題ですが、取り組まないことには実現に向かいません。観光資源を創ることや街づくりの考え方を変える、そしてルールを変えるなどが和歌山県に求められることです。
世界でビジネスを行っている方々の視点と意見から、たくさんの氣づきがあります。豊富な経験の視点からの意見は、地元の視点では思いつかないことがあるのです。ただ実現させるためには必要なことがあります。事業者が投資するに際して、地元と地方自治体の理解と協力です。話し合いの結果、地域発展のための投資を受け入れる限り地元として協力することは絶対に必要なことです。
但し、投資を受け入れて地域が発展するためには地元に魅力があることが前提です。もし賑わいが不足しているのであれば、自分たちで賑わいを創り出す取り組みが必要ですし、鉄道駅や道路の改修なども含めて、まちで生活する満足度を高める必要があるのです。地元でその機運を高めることがまちの再生には不可欠なのです。
今日、地元産のミカンを食べていただきました。「和歌山県ではこんなおいしいミカンが食べられるのですね。この銘柄は何ですか、どこで販売しているのですか。知りたいです」とミカンを食べることを楽しんでくれました。和歌山県ではミカンを食べることは当たり前で「美味しい」と伝えることはあまりないように思います。実はおいしいフルーツや食材があるのですが、当たり前すぎて何とも思わないのです。
鉄道の駅や道路、夕日の見える場所などを視察しましたが、意見を聴きながら歩くと新鮮に感じられました。来春にも引き続いて協議を行う予定です。