「デジタル技術者はどの会社も欲しいですから、良い人材は引き抜きを防止するのが大変ですよ」と話をいただきました。デジタル技術者は不足していますから、優秀な人材はスカウトされている現実があります。デジタル技術者は条件が良いところに移籍することが多いので、今の会社よりも高い年収を提示されると「簡単に移籍してしまう」そうです。
ただ企業が人材を育成して一人前にするまでには2年から3年が必要となるので、社内で育成して戦力になった途端に引き抜かれるのでは、企業にとってはたまったものではありません。しかし移籍は個人の自由で制限できるものではありませんから、対抗手段として優秀な人材の年収を上げなければならないのです。
ハード設備を強化してもそれを活用して取引先に良い提案できる人材がいなければ、宝の持ち腐れです。ハード整備と共にデジタル技術者を育成して引き止めることは簡単なことではないようですが、企業にとっては重要な問題になっています。
そうしなければ「せっかく、当社の担当をしてくれていたのに、引き抜かれていなくなっている例が多数あります。あの人は優秀で相談できると思っていた人ほど、直ぐにいなくなっています。せっかく育てた人材を引き抜かれてしまうことは企業にとって痛手ですが、それが現代社会ですから、必要な人材にいてもらえる条件提示をしなければいけないのでしょうね」ということです。
人材の流動化は好ましいことではありますが、引き留めるためには人件費が膨らむことになります。比較的年収が高い外資系に転職する事例をよく聴きますから、日本の雇用制度のあり方を考えることも必要です。
アメリカでビジネスをしている人から「カリフォルニアは景気が悪いです。時給20ドルか30ドルですが、それでもインフレで生活が厳しいのです。大学生はアルバイトをしても暮らせないので、路上暮らしをしながら通学していることも珍しくありません。特にロサンゼルスは景気が悪くて治安も良くないです」と話してくれました。
ロサンゼルスやサンフランシスコの治安が悪化している話は聴いていますが、現地の人からの話を聴いて「やっぱりそうだったのか」と思いました。今回のアメリカ大統領選挙の争点は経済でしたが、経済対策を強く訴えたのはトランプ大統領だったことも勝因だと聴いています。
政治は経済を重視することが大事なことで、経済を強くしなければ生活が苦しくなるので不満が表面化します。経済の再生をしないで、今の生活の安定もなく将来の生活の不安は消えません。和歌山県の置かれた状況も同じだと思います。
市内の経営者と懇談した時「和歌山市の経済は全く良くないですよ。このまま放置しておくと、経営ができない会社やお店が増えるから、これからますます悪くなりますよ。和歌山県としてやるべき最大のことは経済再生です。経済再生を図ることが県政であり、経済を語らない県政はありません。どれだけ景気が悪いのか。県の関係者は市内を見て回らないと分からないですから現場を回って話を聴くべきです。統計などから経済が回復していると思っているとしたら大きな間違いです」と話してくれました。
その通りだと思います。市内で経済が良いという話は聴いたことがありません。経済は回復しているという統計の数字を見ることがありますが、現場のどこを見て回復していると評価しているのか分かりません。数字は傾向を示すものですが、人が生活している、そして商売をしている現場の実態とは違います。それは平均値と中央値の違いのようなものです。
平均値が良くても、中央値は下の方にあるのは珍しいことではありません。富裕層の資産が増えることで平均値は上がりますから、富裕層とそれ以外の層との差が拡大している場合、平均値は生活の実体から離れていきます。
和歌山県、そして和歌山市の経済はそんな状況にあるように感じます。この方は「和歌山県がやるべき政策は経済再生以外にありません。これに取り組まない政治家がいるとすれば、和歌山県を任せられないことになります」ということを話してくれました。