能登半島復興支援チャリティ「和歌山落語会」を鑑賞しました。出演はゴスペル亭パウロさんと参遊亭遊助さんの二人です。能登半島支援のため現地入りし、ボランティアで落語会を実施していますし、来月も能登半島に行き現地で落語を行う予定になっています。大変な状況下、落語で元気づける取り組みを継続して行ってくれていますし、今回の落語会はその一環で、チャリティの原資を元にして必要な物資を支援することにしています。
パウロさんの演目のひとつに「商店街落語」がありました。かつての和歌山市の丸正百貨店とぶらくり丁を題材としたもので、昭和の時代の和歌山弁が飛び出してきて、昭和の時代の賑わった懐かしい街の風景が蘇ってきました。和歌山弁を強調した落語は地元の私たちにとって笑うツボに入りますから、自然と笑顔になります。笑いを取りながら懐かしくて、思い出を蘇らせてくれるのです。百貨店5階のおもちゃ売り場や屋上の丸正食堂の風景を思い出しますし、丸正百貨店は競書会の展示会場だったので、その当時のネタが満載で笑いました。
小学校の競書会で金賞を取ると丸正百貨店で展示をしてくれるのですが、家族で観に行くことが慣例でした。当時の家庭は、鑑賞に行くときは何故か正装でネクタイをして出かけるのですが、鑑賞した後はおもちゃ売り場と食堂でお子様ランチを食べるのです。
そして家族で「金賞の次は中央展やなぁ」と笑顔で話を交わしながら、子ども達は「次は中央展を取るぞ」と、心の中で自分だけの目標を設定することになるのです。今思うとおもちゃ売り場とランチは、目標を具体化するための手段だったのかも知れません。
今日の落語を聴いた人は、懐かしい思い出として蘇っていると思います。和歌山市民にとっての当時のリアルな思い出なのです。
また遊助さんは銀行員だったので「お金の労働」の演目がありました。お金を働かせることで収益を得ることの落語です。二人とも現代風のオリジナルの落語を演目にしていたので親しめて楽しめる内容になりました。
また落語界の前段で「落語は面白くなくても笑うこと」などユーモアたっぷりの説明がありました。先に笑うことで更に面白くなってくる作用もあるので、生活の中に笑うことの大切さを感じました。心の中で笑う準備をしておくことで、落語がさらに楽しめることになりました。
これは他のことでも同様だと思います。楽しもうと思ってイベントなどに参加する場合と、「退屈だなぁ」と思って嫌々参加する場合とでは、心のあり方が違ってきます。同じ時間を過ごすのであれば、楽しい時間にする方が良いと思います。「これから一緒に楽しもう」という気持ちにさせてくれた前段の説明にも感謝しています。
そして今日の落語を聴いて感じたことは、被災地では非日常の暮らしが続いているので笑顔が出てこないと思います。そんな時、歌や演劇、落語などを聴くことで、少しでもほっとした時間を作れると思います。肩の力が抜ける、思わず笑える、被災生活を少しの時間でも忘れられる。そんな時間が今日を乗り越える力になると思いました。12月に能登半島に行って落語を演じてくれる予定だと聴きましたが、きっと被災された方々の力になると確信しています。
その時に、和歌山県は能登半島地震を忘れていないことと、少しかも知れませんが力になっていることを伝えられたら嬉しいことです。良い時間を提供してくれた、ゴスペル亭パウロさんと参遊亭遊助さんのお二人に感謝しています。