東京からインバウンド観光などサービス関係の仕事の皆さんをお迎えしました。この方たちは和歌山県の潜在能力を理解してくれていて、時々、訪れてくれるので意見交換を行っています。
「外国人が日本で求めているものの一つにフルーツがあります。フルーツが大好きなので、おいしいフルーツが食べられる和歌山県はインバウンド観光客に来てもらえるアドバンテージがありますよ。日本で和歌山県に対抗できるのは福岡県ぐらいだと思います。外国の皆さんは、おいしいものが食べられて、買い物ができて楽しい時間を過ごせることが大事なので、フルーツなど新鮮でおいしい食材が豊富な和歌山県は楽しい時間を提供できる県だと思います。後に楽しみを提供できるしくみを整える必要がありますが、楽しみを提供できる基本はあるので潜在能力はあるということです」と話してくれました。これ以外にも、和歌山県として自信が持てる話を聞かせてくれました。
和歌山県に必要なものは雇用確保と地元の産品を買ってもらうことです。どちらも経済の動きなので、まちに人の動きと物の流通を実現させることが必要です。
人が動くと利益が生まれるので経済再生につながります。但し、デジタル社会なので利益を生む方法は大きく変わっています。従来は人がいて、人の交流があって取引につながり利益を得られるしくみでしたが、現在はインターネットを介在しての取引や流通が主流なので人とデジタルツールで利益を得られるしくみになっています。途中の人と人との交流が割愛されている分野が多くなっています。
ところがデジタルに置き換えられない分野があります。それがサービスの提供なのです。
サービスによって楽しい時間を提供してもらえることや、快適な時間を与えてくれることができます。そんなサービスは人が提供してくれるもので、決してデジタルで代替できないものなのです。
和歌山県が楽しみや娯楽、エンターテインメントを提供できるしくみを創ることができれば、デジタル社会においての存在感を増すことができます。つまり人が来てくれる、インバウンド観光客が訪れてくれるなど人が動き、雇用が生まれ、地元産品が売れることになる。そんな地域を築くことができるということです。
但し、そのためには現状で良いという意識からの脱却と、変わることを受け入れる県民性が必要となります。まちは社会の変化に対応していくことで発展します。変化に対応できない地域は衰退することになりますが、これは歴史で証明されていることです。和歌山県には自然と文化があります。
これはとても大事なことですし、守るべき価値ですが、これらを社会の変化に応じて生かす方法を見つけなければなりません。
変わることの一つとして、県外や外国のサービス業などに携わる人達の話を聞いて新しい価値を受け入れることも必要です。自己の価値を優先するあまり排他的な考えの地域は発展しないのです。
話の中で「ハッ」としたことがありました。リニア新幹線の話です。「リニア新幹線を奈良ルートで和歌山県に接近できれば、和歌山県の発展につながりますね」との意見に対して「リニア新幹線が品川から大阪まで開通するのは2100年ごろの話ですよ。ルートの地盤沈下などの問題があるので、2050年代にもならないと思います。2100年に開通しても、ここにいる誰も生きていませんよ。生きている間に実現できる話をする方が建設的で、自分たちで実現できる話を交わす方が楽しいです」というものです。
将来は大事ですし、私たちがいる今と近未来も大事です。自分が楽しめることを実現させることに取り組むことが第一だと感じました。5年先、遠くても10年先に実現可能な施策を協議して動き始めることが最も大事なことなのです。