「桐和歌会」会合を行いました。会合では副会長の司会と会長挨拶に続いて、挨拶をさせていただきました。前半は羅布さんが会場を盛り上げるために歌を披露してくれ、続いて県政報告を行いました。
会合で皆さんから「物価が高くなり過ぎているので何とかして欲しい」「タコの値段が高くなっているのは何故なんでしょう」「和歌山市の経済を元気にする方策はありませんか」などの意見があり、それに答える形で説明を行いました。
1. 物価が高くなり過ぎているので何とかして欲しい
実は物の値段が高くなることは悪いことではありません。国が誘導して経済が成長していくと賃金が上がり、企業活動が活発になると欲しい製品が市場に投入され、購買意欲が増えていきます。企業の収益が増えると賃金が上がりますから民間消費が活発になります。この循環ができている物価高なら良いのですが、残念ながら地方の実態は賃金が上昇しない、または昇給幅が小さいことから物価の上昇に追いついていないのです。実質賃金が物価上昇を下回っている状態ですから、家計を圧迫していると感じるのは当然のことです。賃金上昇が物価上昇を上回るようにしなければ生活は厳しくなります。通貨供給量を増やしているのに賃金が上がらないことで、今のインフレ傾向が日々の生活を厳しくしているのです。
資金は企業の内部留保に回される額が大きくなり、賃金に引き当てられる額が少ないのだと思います。賃金が増えなければ物価高に直面すると、将来に備えて消費を控えるようになります。インフレターゲットで2パーセントの物価上昇を狙う経済成長ではないので、実体経済の成長につながらない経済になっていると思います。
日本はエネルギーと食料品などに輸入が多い国内経済ですから、エネルギーコスト上昇と日用品を始めとする物価上昇は依然として続く円安が効いています。1ドル150円前後の水準になっていることは円の価値が切り下がっていることを表わしています。政策によるものだとしても、日本の通貨が弱くなっているのは事実ですから物価は上がります。円安が続く限り物価の安定はないのです。では円高に向かわせるための金融政策は金融引き締めですが、緩めてしまった金融市場を急激に引き締めることは企業活動を縮小させるので景気が停滞することになります。今の経済状況下でそれはできません。つまり処方箋はないということです。金融緩和を続けてきた期間と同じぐらいの年月をかけて、資本主義の正常な姿である金利のある社会に戻さなければならないのです。
輸入に頼る日本経済が円安であり続ける限り、物価は高止まりで推移すると思います。
2.タコの値段が高くなっているのは何故なんでしょう
モノの値段は需要と供給で決定されます。いま市場にタコが100匹あり、一匹が100円だとします。市場のタコが50匹に減少すると、値段は倍の200円になります。流通コストや人件費の増減など諸条件を捨象した事例なのでこれほど単純モデルではありませんが、タコの数が少なくなれば値段は上がり、タコの数が増えると値段は安くなります。
ところで代表的なタコの原産地はモロッコです。日本に来るタコが減っているのは中国やヨーロッパ諸国など、以前はタコを食べていなかった国が食べるようになったことが原因の一つです。もう一つはタコの捕獲のやり方にあります。タコは狭い空間が好きなのでタコつぼを海に沈めます。タコつぼにタコが住み着いたところで、再びタコつぼを引き上げるのです。
ではタコつぼに住むタコはどんなタコなのでしょうか。住処であるタコつぼを巡ってオス同士が争います。争った結果、強いタコがタコつぼに住むことになりますが、その強いタコが捕獲されてしまうのです。またタコつぼを海に沈めると、その次に強いタコが住むことになります。またしてもタコつぼが引き上げられるのです。強くて生殖能力の高い雄のタコが減少していくので、生存能力の弱いタコが増えることになります。自然界の流れに沿わない捕獲によって強い雄タコが減少し、結果としてタコが減少していくのです。
タコ食べる国が増えていること。強い雄タコが減少し生存能力の弱いタコになっていること。これらの要因からタコが減り、タコの価格が上がっているのです。
おさらいしますが物の数が増えると値段は下がり、その物の数が減ると値段は上がります。タコだけではなく商品の値段は需給によって決まります。
3. 和歌山市の経済を元気にする方策はありませんか
企業誘致やエネルギー産業の誘致などを除いた少し飛躍した話をします。和歌山市の経済が良くならないのは、私達が良くなっていないと感じるのは、将来の和歌山市に対する期待値が低いからです。見えないけれど値段の壁というものがあります。和歌山市の場合、シンガーに出演してもらう場合のギャラは一般的には3万円ぐらいだと思います。仲間が集まって参加可能な居酒屋の飲み放題の値段は約5,000円が相場です。その値段は20年ぐらい前も5,000円だったよう思いますから、全然価格が変わっていない、つまり見えない壁によって据え置かれているのです。
もしシンガーが出演依頼に対して「今5万円もらわなければ出演できません」と言うなら、出演の機会を失うことになるでしょう。もし居酒屋が「材料費などが上がっているので5,500円です」と答えるなら、集まりの幹事は5000円で仕切ってくれる居酒屋を探そうとするので「では結構です」と断ることになるでしょう。
地域によってそれらの相場が違いますが、和歌山市の場合はそうです。もし私たちが内心で「2年後の和歌山市の経済は良くなっているので所得が増えるだろう」と予想しているなら、現在の出費を増やしても「所得が増えるから出演料の支出を増やしても大丈夫」と思いますし、居酒屋の値段も「来年給与が上がるから飲み代は5,500円でも大丈夫」と思うことになります。つまり和歌山市の近い将来への期待値が高ければ、経済状況に応じて適正な値段を支払うのです。
ところが「和歌山市の将来は暗い。所得は上がらないだろう」と予測するなら、支払額を上げるという選択はしません。経済は心理的な一面もありますから、和歌山市の将来への期待値が高ければ値段を上げても支払いますし、そうでなければ今以上の値段を支払いません。つまり見えない値段の壁を超える選択はしないことになります。和歌山市で20年間も同じ値段で仕切っているなら、地域経済が良くなることはありません。
地域経済を動かすには値段の壁を破ること。そのためには和歌山市の将来の期待値を高くすることです。和歌山市の将来を明るいものにする。それは政治の役割です。
他の質問や意見、要望などに対しての説明も行いましたが、主に以上三点の質問について説明しました。
また羅布さんのギターで「マイ・ウェイ」を歌い、その後に羅布さんが「また逢う日まで」を熱唱してくれました。県政報告と歌の競演によって「桐和歌会」を盛り上げて閉めることができました。
参加者から「楽しかったし勉強になりました」「次の会合が楽しみです」「早い時期に次の会合を開催してください」などの言葉をいただきました。参加してくれて励ましてくれたこと、説明を聴いてくれたことに感謝しています。ありがとうございます。
- 県外からの企業誘致について会議を行いました。首都圏と比較して事務所費用が安いことや生活環境が良いことなどを説明して進出を検討してもらっています。
- 20歳代の若い人たちに集まってもらい県政報告を行いました。県政報告の後に皆さんから質問を受け、政治に関心をもってもらえるように答えました。
- 令和6年度上期の政務活動の締めを行い、議会事務局と確認作業を行いました。