活動報告・レポート
2024年10月10日(木)
建設委員会視察三日目
大滝トンネル工事現場の視察1

建設委員会視察の最終日は、埼玉県秩父市の大滝トンネル工事現場の視察でした。大滝トンネルは国道140号地域高規格道路で、西関東連絡道路として位置づけられているものです。発注者は埼玉県で延長は約2.4kmの長いトンネルです。現場事務所で説明を受け、その後トンネル工事現場に向かいました。

現場は動いているので「視察に来て工事を止めることに支障はありませんか」と尋ねたところ「視察に来てもらうことも私たちの広報です。視察に来てもらって説明を聴いてもらうことは広報活動なので建設委員会で来てくれることは有難いことなのです。それに視察に来てもらうことで現場に緊張が走ります。現場の責任者と作業員が緊張感をもつことは安全作業と責任感、そして注目されている工事だと感じるので良いことなのです。ですから視察に来てもらうことは歓迎です」と答えてくれました。

大滝トンネル工事現場の視察2

なるほど。視察に来てもらうことは第三者の視点が入ることであり、注目されていると氣づくことになります。長い期間の工事ですから、人であればどうしても緩むときもあると思います。時には緊張する場面が必要なのは理解できることです。建設委員会もトンネル工事の現場には緊張感を持って視察していますが、現場でも緊張感を持つことになれば、お互いに安全を保てるので良いことです。

トンネル工事現場では工事の進め方、埼玉県の検査基準や体制について質疑を交わしました。現場で工事に着手すると設計通りの地質でないことが多いのです。現場で地質を調査してどの工法にするのかを判断しながら工事を進めているそうです。都度、埼玉県と検査会社、施工業者が協議しています。この協議はほぼ毎日実施しており、仮に現場でできない日があってもインターネットで情報を共有しているので、リアルタイムで現場状況と採用した工法が分かる仕組みになっています。

またトンネル内のコンクリートの一区間は約12メートルですが、一区間ごとに県は検査を行っています。つまり12メートル工事が進捗する毎に検査を実査しているのです。埼玉県が現場で実施した検査は三桁になっています。

毎日の協議と確認、一区間毎に検査を行っていることから「設計通りに進捗していることは確認できます。埼玉県では」という回答をいただきました。

大滝トンネル工事現場の視察3

トンネル内では検査用に開けている天井の穴を確認できましたし、壁の一部はブロックにしているので抜き取って検査することも可能なようにしています。工事中の確認と共に竣工後の安全も考えて検査体制を整えていました。

また大滝トンネル本体工事の総工事費は約52億円で、施工業者は大手ゼネコンの大林組と地元の西武建設と斎藤組のジョイントになっています。トンネル工事はその難しさと工事用機器の保有の問題などから、請負うのは大手ゼネコンが多くなっています。今回は約52億円で工事の難しさから、大手ゼネコンと地元事業者2社のジョイントで落札しています。

質問で「埼玉県で約20億円規模のトンネル工事があれば、地元事業者だけで請負うことは可能なのですか」と質問したところ「約20億円規模のトンネル工事であれば、やはり大手ゼネコンと地元事業者のジョイントとなりますね。そして入札は地元だけではなくて全国から参加してもらえる制度にしています」と答えてくれました。

続けて「設計と異なる状況が多いと聴きましたが、現場が設計と異なる場合の工法について現場責任者だけで変更などを判断することはありますか」と質問したところ、「現場責任者だけで判断することは絶対にありません。必ず埼玉県と確認事業者を入れて三者で協議をしています」と答えてくれました。

現場を視察して、そして質疑を交わした中で、トンネル工事の難しさを感じました。今後のトンネル工事や大型工事の施工の注目点などに生かせる視察となりました。