外国人派遣労働者についての説明を聴かせてもらいました。制度の説明は割愛しますが、日本に労働に来ている外国人の覚悟を感じる話がありました。一般的に派遣期間は主に2年から3年ですが、その間、生活費を除いて残りの給与を貯金しているそうです。
日本で働いて貯金したお金の使い道は、半分は親への仕送りで半分は国に帰ってから進学やビジネスを始めるときの資金として活用するようです。日本に来る外国人は18歳から19歳と未成年の人も多く、10代で外国に働きに出るのは相当な覚悟を持っていると思います。
だから日本に来ている外国人の方々は、稼いだお金の使い道について明確な目的を持っていることから、日本人の同年代と比較して働く姿勢が「真剣だと感じる」と伝えてくれました。
親孝行で仕事熱心、しかも自分を向上させるためにお金を使う。日本人が忘れている気持ちを持っているように感じます。このままで日本は大丈夫なのだろうかと思うような説明がたくさんありました。
関西・歴史文化首都フォーラムin和歌山「”道”は日本のこころ」に参加しました。この素晴らしい企画の案内をいただいた主催者に感謝しています。多くの仲間と共に聴かせてもらい大いなる勉強になりました。
世界遺産の「紀伊山地の霊場と参詣道」のひとつ熊野古道。その熊野信仰についてこれまでにない視点からの話を聴くことができました。
一般的に熊野古道は、平安時代の「都から熊野への行幸」や江戸時代に盛んに行われた「蟻の熊野詣」などが有名ですが、熊野信仰の真髄はその成り立ちから紐解かないと分からないということです。ここでは紀伊半島イコール霊性の大地と表現していますが、その成り立ちは今から約1400万年前に日本列島が大陸から切り離された時を起源にしています。
大陸から切り離された紀伊半島は、フィリピン海プレートの上に乗っかることになります。プレートの上に紀伊半島が乗っかったことから火山活動が始まり、熊野火山は噴火します。現在の熊野に火山はありませんが、ここは巨大なカルデラとなり特異な地形を形成しています。そして約300万年前の地殻変動が熊野に特異性をもたらし、それが熊野信仰へとつながっていくのです。熊野の成り立ちが熊野信仰へとつながる壮大な歴史はこれまで聴いたことがない物語でした。地下の巨大なマグマの塊、つまり岩体となり、この岩体はフィリピン海プレートが沈み込もうとする力で押し上げられ約2000メートル級の山々を築くのです。その場所が熊野岩体であり熊野信仰の舞台になっていくのです。熊野の由来の「隈」は「隠れる」の意味ですから、大和の国の奥に聳える深い山は隠国、神奈備となり、やがて修行の場となっていくのです。この隠国と神奈備の霊力の下で修行をすることで「験力」を得られることになっていくのです。そしてそれは大和朝廷が主導した国家プロジェクトだったのです。
ヤマト王権が大和の地に国家を築いたのは、ここが肥沃な土地であり水もあり農作物の高い生産力を有したからです。その後、大神神社を創祀し、国家祭祀を開始していきます。これが自然信仰で、山や岩、水などが信仰の対象となります。大化の改新で律令制基盤を確立し、壬申の乱で強固な王権基盤を確立します。そして伊勢神宮を創祀し祭祀国家を確立していったのです。
そこで熊野に進入していくのですが、神の聖域熊野で神仏習合を体現し、聖域を朝廷の支配下に置くために山岳修行者を熊野に進入させたのです。進入した結果、朝廷は金属資源の宝庫であることを把握し、大仏建立に必要な銅の探査を行ったのです。
そうです。朝廷は熊野に進入した結果、ここは「宝の山」であることを把握したのです。大仏建立に必要な銅や水銀が熊野にはあり、金や銀も熊野岩体にあることを発見したのです。地下資源は熊野岩体がもたらした恵みであり、朝廷は祭祀国家としての自然信仰と共に権力を絶対のものにする地下資源も手中に収めたのです。
熊野岩体が2,000メートル級の山々を形成し、地下資源をここに眠らせたのです。そして祭祀国家として神仏習合の体現と共に、大仏を建立するための銅などの資源を熊野で確保したのです。
つまり紀伊半島が霊性大地になったのは、約1400万年前に大陸から切り離されて南方に移動した日本列島の変動が起点になっているのです。そして熊野はフィリピン海プレートの上に乗っかったことから、巨大マグマ活動の影響で特殊な地形と金属資源を埋蔵させることになったのです。大和朝廷の隣に位置する熊野は権力の源泉となる信仰と資源の両方を獲得したのです。熊野は日本にとって大切な場所だったことが分かります。熊野の存在なくして大和朝廷は成り立たなかったかもしれないと思える話でした。
この講演は巽好幸教授が担当してくれました。この講演を聴けた幸運に感謝しています。
和歌山大学経済学部OBの学ぶ場である「和歌山ぶらくり会」参加しました。今回、和歌山大学経済学部の辻本勝久教授から「和歌山県地域における公共交通機関のバリアフリー化について」の卓話を聴かせてもらいました。
和歌山県内の鉄道駅や公共バスのバリアフリー化は全国と比較して「残念ながら遅れている」ということです。駅の設備やトイレ、車両に至るまで改善すべきことが多く、高齢者や障がい者はもちろんのこと、外国人や他県から来県された方のためにもバリアフリー、そしてユニバーサルデザインの必要性を感じました。
本年度、JR和歌山駅周辺の再整備の構想計画の事業者が決まっているので、辻本教授が指摘するバリアフリー化について提言していきたいと考えています。