活動報告・レポート
2024年8月2日(金)
外交史料館
外交史料館

外交史料館を訪れ、原本特別展示の条約調印130周年記念「日英通商航海条約 陸奥宗光と条約改正」を見てきました。外交史料館は麻布台ヒルズに移転しているため、ここを訪問するのは初めてのことです。展示室は以前より少し狭くなっていますが、分かりやすい場所に移転していることから修学旅行や視察などで訪れやすくなっています。和歌山県内の中学校と高校に情報発信したいと思います。

さて特別展示では「言葉でたどる日本外交」として、条約改正や締結に尽力した歴代の主な外務大臣や総理大臣の言葉が表示されていました。故郷の偉人である陸奥宗光外務大臣の言葉も記されていますが、ナンバーワンの言葉だと思いました。

外交史料館

「条約改正の大業は維新以来国家の宿望に係り、之を完成せざる間は、維新の鴻業も尚ほ一半を剰すに均し」です。この言葉は明治28年、条約改正事業について陸奥宗光伯が回想した言葉として記されています。これを現代語に意訳すると次の通りになります。

「条約改正という大事業は明治維新以来の日本国家の宿願であり、これを成し遂げない限りは、維新の大事業もなお道半ばというに等しい」という意味です。

何と素晴らしい言葉でしょうか。先に開催した「龍馬World in和歌山」では、坂本龍馬を始めとする維新の志士たちが目指したもの。これは不平等条約改正により近代国家への道を切り開くことと列強と対等な国になることですが、これを陸奥宗光伯が成し遂げて維新の志士たちの志を成就させたことを訴え、全国に発信しましたが、まさに主催者である私たちが設定した大会趣旨と合致している言葉であり、改めて和歌山大会の趣旨が正しく、和歌山県から全国に発信できたことを誇りに感じました。

外交史料館

当然、陸奥宗光伯が回想した条約改正とは、当時の覇権国であるイギリスとの間で締結した「日英通商航海条約」であり、この覇権国との間で不平等条約を改正したことから順次、条約改正が実現していったことを指していると思います。この「日英通商航海条約」調印書では、領事裁判権の撤廃と関税自主権の一部回復を達成しており、わが国の外交は「条約改正は大きく前進した」と歴史上、大きく評価されています。この条約改正は明治27年、西暦1894年7月16日であり、条約改正から130年を迎えた令和6年、西暦2024年に何としても陸奥宗光伯の故郷である和歌山県で開催したかった理由です。和歌山県からこの不平等条約改正を達成した歴史と偉人の功績を発信しなければならなかったのです。

和歌山大会が実現したことに加え、外交史料館がこの大会趣旨に呼応して、この特別展示を開催してくれたことは、和歌山県政の歴史にいつまでも残るものだと確信しています。この和歌山大会の趣旨と意義に関しても、後の世の人が和歌山県の歴史の転換期を見る視点と令和の時代に130年記念大会を実現したことを評価してくれるものと確信しています。

外交史料館 外交史料館

本日、特別展示を視察して感慨にふけ、後世に評価される「日英通商航海条約」締結130周年記念大会に仕上がったと思い返しています。和歌山大会開催を目指して3年、決定してからの準備期間が2年。実現するまでには長い月日を要しましたが、この3年ないしは2年の準備と考える時間は私達にこの不平等条約改正の趣旨を分からせてくれ、欧米と対等の国であり続けること、そしてアジアの国々と友好関係を築くことの大事さを考えさせてくれるものでした。

外交史料館

和歌山大会をやり遂げ、そして今回、外交史料館での特別展示を見て、当たり前のことですが歴史は人が築くものであり、外交の舞台に立つ人を支える人がいることを感じました。

そして対等な国になり、将来に続く友好関係を築くまでには長い時間を要することも知りました。そんな歴史の流れの中に私たちは生きているのです。私たちは一体どんな役割を果たせばよいのか考えさせられます。