鈴木桂治パリオリンピック男子柔道監督の講演会と激励会に出席しました。パリオリンピックに向けて7月21日に出発する予定ですが、本日、和歌山県に入っていただき講演会講師を受けていただき、続いて激励会を行いました。オリンピック選手の激励会は地元で開催することが多いのですが、代表監督の激励会は珍しいそうです。大切な時間を使っていただき来県してくれた鈴木監督の激励会を開催できたこと、出席できたことは有難いことだと感謝しています。
さて講演会会場には「鈴木監督が来る」ということで満員となり、「オリンピックと私」をテーマの話をしてくれました。鈴木監督はオリンピック金メダリストであり、コーチとしても金メダルを獲得しているので、今回、監督として金メダルを獲得すれば、「選手で金、コーチで金、監督で金」となり、これは日本人で初めてのことだそうです。この事実を発見してくれた柔道ファンがいたようで、監督は「監督で金メダルを獲得すれば史上初となる。これは目標になるものです。これは誰も氣づかないことだと思いますが、初めてになることを達成するという目標があると炎が燃えてきますし、心に炎が着火します。心を燃やすことは目標達成のための強い動機付けになりますから、物事を成すためには必ず必要なことです。小さなことだと思いますが、心の炎に火を燃やさせてくれる強い動機付けになるもので燃えるために必要なことです」と話してくれました。
さて講演会では全国から選抜された18歳から23歳までの学生チームを指導している時のエピソードを伝えてくれました。全ての学生に対して「君たちはいつ世界一になるのか」を訪ねたのです。その答えは高校生なら「大学生になった時に狙います」。大学生なら「社会人で経験を積んでからです」などがありました。決して悪くないし正解はないのですが、実はこの問いかけは鈴木監督が選手時代に斎藤監督から質問されています。
斎藤監督にとっての正解は「明日です」だそうです。今日の稽古を行って、明日、世界一になることを目指す。つまり今日の稽古は明日のためということです。
さらに言うなら、4年後に世界一を目指すと決めた場合、本格的に世界一を目指して稽古を始めるのはその1年ぐらい前になります。人はそれをやると決めた1年ぐらい前に、やっと取り組み始めるのです。4年間ずっと、世界一を目指した稽古を続けられる人は少ないのです。
つまり「明日、世界一になる」と決めることは「今日の稽古は世界一になるための稽古」になるのです。1年先に世界一になると決めた場合「今日の稽古は稽古のための稽古」になってしまうのです。同じ稽古でも本気と覚悟が違ってくるので、世界一を目指すと決めたら、一日たりとも無駄にできないことを示すものが「明日、世界一になる」が正解だということです。
世界一になるのは明日、ですから今の稽古は世界一を目指す稽古でなければならないのです。一日も無駄にできない。それは人生そのものだと言えます。無駄にして良い一日はありませんし、無駄にしても良い時間などありません。今日は人生で訪れるたった一度限りの一日であり、たった一度だけ存在する「いま」という時間なのです。
「4年先のオリンピックで世界一になる」「いつか世界一になる」では、到底、目標達成はできないのです。今日から世界一になるための稽古をする覚悟。それが世界一を目指すために必要なことなのです。人生の全てのことにおいて同じことが言えると思います。
柔道全日本選手権を制しオリンピックで世界一になった鈴木桂治監督が伝えた言葉には、それを実現した人だけが語れる言葉の重さがありました。私達の心に響いたのは勿論のこと、明日に向かうための炎を燃やしてくれるものでした。
柔道選手だけではなく、パリオリンピックに出場する全ての選手を応援したくなりました。世界一を獲った監督の講演会に参加でき、大切な時期の激励会にも出席できたことを心から感謝しています。