活動報告・レポート
2024年6月25日(火)
建設委員会

本日、建設委員会が開催されました。八郎山トンネル技術検討委員会の調査報告書が公表されたことから、主にこの件について質疑を交わしました。

この報告書が最終報告となることから、今回の施工者や県の対応の問題点と対策が記されています。県の問題点に関しては「風土と環境」が記されていたので「風土は職場で長年に亘って根付き築かれてきたものですから、簡単に改善されるようなものではないと思います。制度とルールであれば対策を検討し、制度やルールを変更することで改善は可能ですが職場の文化はそうはいきません。

人員が少ないことや仕事の質が変わっていることなど、職場も時代に即して変わる必要がありますが風土はなかなか変わらないのは大企業病とも揶揄される巨大組織を鑑みても難しい挑戦となります。

この点を指摘し、これから職場文化、風土が変わることを期待して対策の実効性を見守りたいと思います。

また委員会では、技術職の人材確保の難しさについても指摘がありました。民間もそうですが県庁や市町でも技術者が不足しているのですが、人材を確保する方法がありません。社会全体で不足していることに加え、和歌山県内では工業高校が減少していることも関係しています。現在の普通科を志望する中学生が増えていることから、公立高校では普通科に再編している状況があります。

県内で技術者の養成が十分ではないことは教育委員会の所管になりますが、現在の技術者不足に加え、将来の不足も予見できることから工業高校や工業系大学の設置や誘致についても課題であることを認識しました。

制度やしくみを作っても県庁内に技術者が不足するなら歯止めがかけられません。現在、高校を卒業した18歳の約80パーセントが県外に進学や就職していて、しかも県外進学者が県内に戻って来る率は約20パーセントだそうです。若い人の流失が人口減少と技術者不足に関与していることは明らかなので、県内で人材を養成することと県内で働く場所を創り出すことの必要性の認識も新たにしたところです。

和歌山県長期総合計画の見直しを実施する予定ですが、技術者不足と若い人が県内に戻って来るための受け皿をつくる視点も持ちたいところです。これは教育委員会だけの問題ではなく、県土整備部を含めて県全体の課題でもあるからです。

今回、八郎山トンネルの問題で質疑を交わしたのは、県土整備部の対策に関してのものとしました。事業者側の問題点はこれまでの委員会で指摘したところですが、再発防止のためには仕事の発注者側である県土整備部の体制確立と歯止めをかける必要があるからです。

質問の概要は以下の通りですが、本年度の対応を注視したいと考えています。

【建設委員会での質疑の項目】

  1. 和歌山市内の梅原交差点の改良工事について
    令和5年5月に地元同意を得て測量設計を行ったと認識しています。令和6年度の事業計画について説明をお願いいたします。
  2. 八郎山トンネルについて
    技術検討委員会調査報告書が公表されました。今回県土整備部の対策について質問します。県庁における再発防止策では組織マネジメント力の強化として「技術職マネジメント研修」を行うと聴いていますが、どのような研修なのですか。今回の施工不良を見抜けなかった点を鑑み、二度と起こさないような再発防止に資する研修になっているのですか。
    また報告書では「本来すべきことができていなかったことに起因するものであり、その本質は『制度やルール』ではなく、職員を取り巻く『風土や環境』が大きく影響していることから、その抜本的な改善に向けた対策を講じる必要がある」と指摘されています。
    『制度やルール』の問題であれば改善は図りやすいのですが、組織の『風土や環境』であれば、俗に言う巨大組織に根付いた文化であり、改革は難しいものだと認識しています。
    組織文化の問題であれば、果たして「技術職マネジメント研修」で改革が可能なのだろうかと思います。この点、如何でしょうか。
  3. トンネル施工における監督員の技術力強化策として「トンネル施工に関する注意点マニュアル」を作成したようですが、今回見抜けなかった点を全てマニュアル化することで県として歯止めを掛けられているのですか。マニュアルの内容を簡単に説明して下さい。
  4. 適切な監督業務の実施環境を整備していますが、今回、見逃していた「段階確認」については、どのような歯止めをかけているのですか。
  5. 損害賠償請求については、算定の根拠づけや請求時期など、どのように対応する予定ですか。
  6. トンネル工事のやり直しになりますが、令和5年12月に着工した工事の進捗と竣工見込みを教えてください。