賃上げ、最低賃金の引き上げに関して協議を行いました。令和6年の春闘において大手企業賃上げは成果を出しています。和歌山市にある日本製鉄は要求が3万円に対して会社側の回答が3万5千円と賃上げ要求以上の回答ができるという異例の決着を見せています。この背景にあるのは、日本製鉄の橋本英二社長の「賃金抑制は経営にリスク」という考え方です。
この春闘の結果に関しては日本製鉄の労務担当の三好忠滿執行役員は、記者会見で次のように答えています。「製造業のトップクラスの水準に引き上げ、一流の処遇のもと、社員に一流の実力を最大限発揮してもらいたい」。
そして「『総合力世界ナンバーワンの鉄鋼メーカー』への復権に向けた課題に向け、有為な人材を確保することや社員の活躍推進が重要だ。多様な課題に取り組むなかで、人材確保などに必要な水準が製造業トップクラスだと考えた」とも言及し、「今回の給与改定は会社にとって、今後の生産性向上を前提にした将来に向けた人への投資だ。この投資に見合うように、従業員には生産性向上などを強く望んでいる」と話しています。
また日本製鉄の方から「社員の給与の総額をどれだけ増やせたかが、私にとっての経営のKPI(重要業績評価指標)ですよ」と橋本英二社長が語ったことを説明してくれました。この趣旨は「社員の給与を上げたことは社長の仕事である。それができたことは社長としての誇りである」ということだそうです。
日本製鉄は社員の給与を上げる原資を確保するために取引先と価格交渉をしているように、適正価格で商品を取引するという当たり前の営業活動を行っています。その結果、「世界最高品質の製品を世界で一番安い価格で販売していた」と言われていた製品を適正価格に転換することができたのです。その結果、社員の給与アップにつなげています。この社長の考え方と企業姿勢は見習うべきだと思います。
この説明としては、日本企業は長年行き過ぎた「顧客至上主義」の考え方が浸透していたことがあげられます。いつの時代からは分かりませんが「お客さんは神様です」の言葉が社会に浸透し、お客さんの言うことは何でも聞く姿勢が企業に求められてきました。
そのたどり着いた先が現在で、カスタマーハラスメントは社会全体、とりわけサービス業の大きな問題になっています。県庁や役所でも同じ問題に晒されているのではないでしょうか。JR東日本や全日空、イオンなどではこのカスタマーハラスメント対策として「対応しません」と打ち出しているように、顧客至上主義は苦情に割く時間が増え、その対応は製品原価を押し上げることになります。
少し論点がそれましたが、社員の給与を上げることが社長の使命であり誇りであるという言葉に感動を覚えますし、見習っていくべき姿勢だと思います。
「顧客のためなら」という大義名分は、部分最適にはなっても会社全体の利益を害する。そうなれば企業の競争力を損なうのは当たり前のことであり、それは商品やサービスの恩恵を受けていた客さんに跳ね返ってきます。
わが国はデフレ経済から脱却できなかったことから給与が上がらなかったことや、企業の利益率も欧米の有力企業には及ばない体質に陥っていました。日本製鉄が行動と賃上げで示してくれたように、来春以降も賃上げの機運を経営者側と労働組合側が維持し続けなければなりません。
そして中小企業の比率が99.9パーセントである和歌山県は、「この賃上げできたことを誇りに思う」と語った経営者の姿勢に見習い、賃上げに向けた方向性を地元企業に示していく必要があると思います。
それにしても日本製鉄の方から橋本社長の社員のことを思った言葉を聴いて「素晴らしい経営者がいるんだ」と思い、在任中の活躍ぶりを調べたところ、更にその凄さに驚き感動しています。
- 和歌山県主催の「薬物乱用防止指導員の役割と薬物乱用の現状について」の講習を受けてきました。年に一度の講習の機会で最新の知識を得ています。
- 「龍馬World in和歌山」大会に関する会議を行いました。式典のオープニングの盛り上げ方と全体の流れを確認しました。
- 検査入院中の友人と少しの時間ですが、会って話を交わしたこと。元気にしているので安心しました。