神奈川県立金沢文庫の「国宝文選集注といただきもの」展を鑑賞してきました。この特別展に陸奥宗光伯の展示物は陸奥家からのあずかりもので、今年、和歌山県で「龍馬World in和歌山」大会を開催することが決まった時から、特別展での出展のお願いをしていました。
今年、この特別展を開催する意味は、陸奥宗光外務大臣が成し遂げた日英通商航海条約締結から130年の記念の年だからです。令和6年はイギリスとの間で締結されていた不平等条約を改正してから130年目となり、陸奥宗光伯の偉業を称えることが務めだと考え、和歌山県での全国大会開催と共に、金沢文庫や外務省外交史料館、和歌山市立博物館などにお願いをして今年、同時に開催してもらえる運びとなったものです。
この特別展は令和6年3月22日から5月19日までの間行われ、和歌山県で開催する「龍馬World in和歌山」大会に先駆けて開催してくれるので、この全国大会に弾みがつくものだと感謝しています。
特別展で陸奥家からの「あずかりもの」は手帳や文具、扁額「六石山房」、そして欧州時代に記した7つのノートです。7つのノートは英語の筆記体で書かれていますが、この筆記体が丁寧で美しいのです。
「日本人がこんな美しい筆記体をノートに記していたのか」と驚くばかりです。覇権国であった当時のイギリスの知識人が記したノートのように思える程でした。友人からは「陸奥宗光伯の英語で書かれたノートはとても美しいですよ。ただ公開していないので見る機会がないことが残念なのですが」と聴いていたので、今回の特別展は二度とない機会であり、和歌山県での全国大会を前に「絶対に鑑賞しなければならない」義務であると思って日帰りで金沢文庫を訪れたものです。
話で聴いていた通り「美しいノート」に感動して、この展示物の前で留まりました。「あの時代に英語の筆記体で、これほど美しい文字を書いた人がいたなんて」と思います。それが和歌山県の誇る偉人、陸奥宗光外務大臣だった「国宝文選集注といただきもの」展を鑑賞ですから、郷里の一人として嬉しくてたまりません。
この陸奥宗光伯の7つのノートに関しては、佐々木雄一氏の『陸奥宗光-「日本外交の祖」の生涯』に次のように記されています。
「陸奥は、アメリカ経由でヨーロッパに渡り、イギリスでアースキン・メイ(下院書記官長)から議会政治について学び、ケンブリッジのトマス・ワラカーからイギリス国制と国際法などについて学んだ。ロンドン滞在時には、ケーペルという事務弁護士の家にお世話になっている。後に息子の広吉も下宿することになる。
陸奥がヨーロッパで学んだものは、英文でびっしりと書かれた七冊のノートにまとめられ、今でも神奈川県立金沢文庫が所蔵している」というものです。
そんな歴史的な7つのノートを、本日、直接見ることが出来たことは凄いことだと思っています。行動することによって得られたものがある。金沢文庫において、そんなことを感じた日でもありました。
ところで金沢文庫へは品川から京急特急で向かいました。金沢文庫や金沢八景は鎌倉時代の歴史が残っているまちとして有名ですが、訪れてみて住みやすそうな品のある「きれいなまち」だと思いました。金沢文庫駅から高台の住宅地を歩くこと約13分、突然、県立金沢文庫の建物が現れます。落ち着いた歴史の跡さえ感じる雰囲気がありました。
参考までに、金沢文庫は次のように紹介されています。
鎌倉時代中期(13世紀後半)において、金沢流北条氏の北条実時が金沢郷(現在の横浜市金沢区)に設けた文庫である。武家の文庫としては日本最古と紹介されることもある。
近代になって復興され、現在は「神奈川県立金沢文庫」(かなざわぶんこ)の名称で県立歴史博物館となっている。
歴史の跡を訪ね、その空気と7つのノートを見たという事実を和歌山市に持ち帰ることが出来た一日となりました。