活動報告・レポート
2024年5月8日(水)
医聖 華岡青洲
華岡青洲 卓話

世界の医聖「華岡青洲」の卓話を聴かせてもらいました。講師は「一般財団法人青洲の里」の谷脇さんです。令和6年度は、華岡青洲が全身麻酔薬手術を行ってから220年の記念の年になることから、その功績を広く知ってもらいたいと考えて卓話で回っているので、故郷の偉人の功績と人柄を知るために卓話をお願いして聞く機会を持ちました。

谷脇さんからは「世界の医聖 華岡青洲」と紹介があったように、全身麻酔で手術に成功した世界で初めての医師なのです。日本で初めてではなくて世界で初めての偉業を達成した人物なので、今なら世界で活躍しているドクターやスポーツ選手のような存在だったと思います。

ところが生涯のほとんどを地元かつらぎ町で医師として活動していた人物だったのです。江戸に出ることも出来たはずですが「困っている庶民のため」内科と外科の両方の医業を地元で続けたそうです。医聖は患者や門人の医塾「春林軒」を運営し、延べ数十万人、門人は2,255人の治療をしています。この「春林軒」は日本医学の中心地で、江戸時代で最大の医塾であり、華岡流医術や医学理念である「内外合一」や「活物窮理」などを教授していたそうです。

この「内外合一」とは、「かけがえのない人の病を身心全体から診て、真摯に向き合う大切さを説いた」ものです。華岡青洲の人生訓としては「知ることも行うことも大切である」こと、「自己の幸せと共に他人の幸せも考える」ことを解いています。

また「活物窮理」とは「自己創生の言葉で、世界に通じる教え」を説いています。同じく人生訓としては「人としての道を究め、人の役に立つこと、人を育成すること」および「人にしてもらうことよりも、自分が人に何ができるかを考える」ことを説いたようです。このことから「良い行いは良い結果を伴う」ことも伝えてくれました。

技術としての医術の腕前もさることながら、人の気持ちが分かる優しい穏やかな人柄だったことを聞かせてもらいました。そのことを「思いやりのある医師、人格者として、世のため人のため、地域のために尽くした」とその人柄を紹介してくれたうえで、4つの表現で人柄を説明してくれました。

  1. 人の気持ちが分かるやさしい、穏やかな人
  2. 未知の世界を開拓しながら、自分の信じる道を行く心の強い人
  3. 人望のある人
  4. ふるさと思いで、信心深く善行を積む人

医聖はこのような素晴らしい人柄だったことを伝えてくれました。

その医術をもってすれば江戸でも最高の医師として迎えてくれたと思いますが、故郷思いの人柄だったことから、京都で修行した以外は、故郷であるかつらぎ町で医師として過ごしています。故郷思いについては次のように説明してくれました。

  1. 生誕地で生涯にわたり内科と外科の医業を続けた
  2. 「垣内池」を築造し、華岡新田を開くなど村人の生活安定や村の繁栄に努めた
  3. 高野山西塔やかつらぎ町鎌八幡宮に常夜灯を寄贈、名手八幡神社や地蔵寺に多額の寄進をしています
  4. 道徳心や社会に尽くす精神を最大限に実践しています

医師としての使命を果たしただけではなく、このように故郷を思い、故郷の人の幸せと発展のために尽くした人物だったのです。今でいうなら、本業だけではなく、本業を通じて地元貢献に尽力した人ということになります。

このように和歌山県は多くの偉人を輩出していますが、何故か全国的にはあまり知られていないように感じます。これは故郷の偉人の顕彰活動をしているので感じていることですが、今日の卓話を聴き、華岡青洲も含めて故郷の偉人を全国区になるような取り組みを続けたいと感じました。