活動報告・レポート
2024年4月14日(日)
人手不足の問題

「求人を出しても人が集まらないのです」の話がありました。どこの地域でも同じだと思いますが、和歌山市で求人を出しても「まったく反応がない」または「応募者がいない」ようです。求人に際して年齢制限はしていないのですが「40歳代、30歳代の人は全く反応がありません。20歳代の応募に関しては皆無です」という状況です。

わが国における地方都市での人手不足の本質は分からないのですが、多くの人は首都圏で就職していること。デジタル系の人材は首都圏を希望していること。給与は大都市と地方都市との間には格差があることから、地方で働きたいと思っている人が少ないこと。などが挙げられます。

求人をしている事業所の責任者とお会いしたのですが「人材派遣会社やハローワークに求人を出して半年が経過していますが、応募者はなく全く反応はありません。どうしたら良いのか分からないのです」と困りごとを話してくれました。

新規採用したいと思っている事業者からは「人がいない、特に若い人がいない」と聴きますが、地方においてはどの職種でも人がいないのです。地方の疲弊、活力が失われている大きな原因になっています。

恐らく先に上げた原因により若い人は首都圏での仕事を希望していることや、和歌山市の場合は大阪市が近いので、大阪市での仕事を希望しているのだと思います。

地方都市では、一般的に小学生から高校までの公教育の機会を提供しています。幼稚園と保育園の時代から含めると18年間弱の期間の教育を担っているのですが、19歳になると県外に出て行ってしまいます。

そして卒業した後は進学した先のまちで就職することになるので、故郷に戻って来ないのです。子どもが18歳以下の年齢の時は、予算を使って公教育を担当して子ども達の成長を見守っているのですが、教育期間を経て社会人になった時は東京や大阪で仕事をして暮らすことになるのです。

地方都市は子どもの教育という投資をしているにも関わらず就労は都市になるので、都市は地方が予算と時間を費やして育てた人材を得ているのです。地方は懸命にまちを活性化するために努力をしているにも関わらず人材がいなくなるので、地方自治体が成長を遂げるためのしくみが成り立たなくなっています。

今日における地方都市での人手不足は、都市と地方都市の格差の顕著な事例です。この状態が続くと更に格差が拡大しますし、地方の活力は益々失われていきます。果たして地方自体の責任なのでしょうかと、疑問に感じる事態が地方都市にはあります。

恒常的になっている人手不足の現場に遭遇して、地方都市と都市で起きている問題にギャップを感じました。東京中心のメディアの方々には、地方都市における人手不足などの実態を伝えて欲しいと思います。

同様に「地方都市の経済は良くないですよ。むしろ経済は悪いと思います。企業の業績が良いだとか、賃金が上がっているなどの視点は東京のものなので、地方都市の経済は決して上向いていないことや、賃金も上がっていない実態を訴えて欲しいと思います。地方の中小企業は賃上げする原資はありません。地方の経済の厳しさをもっと、もっと伝えて欲しいと思います」との意見も聴かせてもらいました。

現在、県内はどの業界でも人手不足が言われています。人口減少、そして現役世代が少なくなっていることや、将来を担ってくれる若い人、中でもエンジニアが少なくなっていることが原因です。直ぐの解決は難しい問題ですが、県として企業誘致や定住のため取り組みなどを進めているところです。