活動報告・レポート
2024年4月6日(土)
政研フォーラム近畿支部研修会
展覧会

田村画伯の展覧会の案内をいただき鑑賞してきました。テーマは「龍」だと思うほど迫力ある作品が展示されていました。創作中に見た黒く荒々しい龍の作品や、紀三井寺に奉納した青龍、そして画廊に展示している白龍などを中心に会場内は龍に染められていました。

展覧会 展覧会

変わっていたのはピンク色の龍の作品で、今までにない色使いの龍は何を意味しているのか、作者に会った時に尋ねたいと思います。

龍縁の言葉がありますが、ご縁のある人が集うことで、今年の干支である辰と共に縁起の良い龍が飛び立つ瞬間を待っているように感じました。

政研フォーラム近畿支部研修会

政研フォーラム近畿支部研修会に参加しました。今回は濱口和久先生の「防災・減災を考える〜命を守る行動とは〜」と、平田英明先生の「金融政策の転換と日本経済への影響」の講義でした。

・濱口先生の講義の要旨

大きな流れとして、わが国の避難所は相当遅れていて、防災先進国からは「難民キャンプだろうか」と言われているほど時代遅れだそうです。防災先進国はイタリアと台湾で、イタリアの場合、被災した地域にはその日のうちに避難生活ができるテントが設置されシャワーとトイレも完備されるそうです。またその日のうちに温かい食事が提供される国のしくみになっていると聞きました。

また台湾国に対しては、高雄地域で地震が発生したことをお見舞い申し上げます。報道で観ただけですが、避難所内に震災当日にテントが張られ、暖かい食事が提供されていました。

体育館内のテントは家族単位で利用できることでプライバシーが守られています。そしてシャワーも温かい食事も提供されているので、能登半島地震で問題になっている「TKB」が揃っているように感じています。

能登半島地震による避難所では、今もなお、約8,000人が生活していますが、イタリアや台湾の避難所と全く違う光景に「どうしてなんだろう」と思わざるを得ません。先生は「食事にしても、発災直後はパンやカップラーメンの提供は理解できますが、それが続くとなると問題です」と伝えてくれました。同様に避難所のトイレとベッドも衛生上の問題が解消されていないので、今から29年前の阪神淡路大震災の時から時間が止まっているようだと説明してくれました。

被災地は断水していることから水洗トイレは使用できないことは分かりますが、問題提起され続けているにも関わらず改善されていないことが問題だとの指摘がありました。

政研フォーラム近畿支部研修会

国際的には避難所はスフィア基準を満たしている必要がありますが、日本の第一次避難所で、スフィア基準を満たしているところは「ありません」という状況です。

なお阪神淡路大震災から能登半島地震発生までの29年間で震度7以上の地震は7回発生しています。つまり4年に一度。巨大地震が発生しているのですが、これだけの巨大地震が発生しているにも関わらず、トイレと温かい食事の提供、シャワーの問題が解決されていないこと、避難所が整備されていないことは大問題だということです。課題が課題のままで放置され続けていることは政府、行政の怠慢だと言えます。

一方、政府だけではなくて国民の側にも問題があります。例え防災に関して立派なしくみや対策を講じたとしても、一人ひとりの意識が高くなければ何の意味もないということになります。「無関心層の解消」を図らなければ、防災対策は意味を成さないということです。

防災先進国と比較して、わが国の防災対策が遅れているのは政府や行政だけの責任ではなく、国民である私達が無関心であることにも問題があるのです。

「誰かがやるだろう」は「誰もやらない」の意味ですが、私達は「誰かがやってくれるだろう」と思っているように感じます。それは地域の避難訓練に参加するとよく分かります。

参加してくれるのは毎年決まった人ばかりで、自治会長や役員や消防の方々が全て担当と進行している形式があるからです。自主防災の意識の高まりが感じられないことがありますが、訓練で出来ないことは実際の避難行動でできることはありません。是非とも、防災意識を高めるように仕向ける必要があります。

また「その時に何が出来るか」ではなく「それまでに何をしておくか」が大事なことだと説明してくれました。防災意識を高めることと同時に、事前の備えが必要だということです。

言うならば「災害対策のシートベルト化」だと説明してくれました。昭和の時代は車に乗ってもシートベルトは着用しないことが当たり前でした。それが今ではシートベルトを着用しなければ「怖い」と思うようになっています。シートベルトを着用して運転することが当たり前になっているように、災害対策も「やっておいて当たり前」にならなければいけないのです。

ところで濱口先生は、和歌山県内で子どもに対して防災教育を実施してくれています。広川町や海南市、串本町などが対象だそうですが、「残念ながら和歌山市はやっていない」そうなので残念なことです。日頃からの訓練と反復教育は、子どもも大人も実施しておくべきことです。言うまでもなく、それらは命を守る行動に直結しているからです。

濱口先生の講義に感銘を受けました。受講して良かったと感謝しています。