こんなところにも円安の影響が出ていることを聴きました。
欧州から日本に進出した企業が建物を建築することになりました。日本企業が設計と建築を請け負うのですが「設計も工事費も予算に合わない」そうです。これまでそんなことはなかったのですが、予算が合わない理由が円安でした。ユーロに対しても円安になっているので、その国はユーロ建て予算を組んでいるため円換算をすれば設計と建築費の予算が安くなるのです。当たり前のことですが、円安のため予算が合わない事態に陥っているのです。
そのため「円安のため欧米から進出する企業からの仕事は予算が合わなくなっています。
予算増額を求めているのですが、本国での設計や建築費から予算を組んでいるので、交渉をしていますが増額を認めてくれないのです」と話してくれました。
外国企業の建築費が合わないまでに国力が落ちていることを感じます。これまでユーロも安かったのですが、対ユーロに対しても円の価値はここまで落ちているのです。
日本企業の方は「日本を舐めるな」と思って交渉をしているのですが歩み寄ってくれない事態が続いているそうです。もちろん「予算が合わなければ仕事を請けません。その結果、日本に来てくれなくても良いと思います。日本にはまだまだ力があることを見せてやります」と話しながら「円安は国力を示しています。明らかにわが国の国力が低下していますね。これからの見通しも良くないです」と言う見解です。
これ以上の円安が続くと不景気に向かうと思います。昨年の春ごろ「1ドル150円が限界ですね。それ以上円安になると景気が失速します」と話していたことを覚えていますが、現在、その円安の限度に来ていることから、欧米からの仕事は予算が合わない事態になっているのです。円安による仕事への影響をもっと理解して円安への対応をしなければならないと思います。
通貨は国の力を表しますから、この円安は日本の国力の低下を表しています。現在、日本に観光客が訪れているのは有り難いことですが、それは日本でブランドや物品を買う方が本国で買うよりも安いからです。また観光に係る宿泊や食事などの費用も安いと感じているから訪日しているのです。果たしてインバウンドツーリストの増加を歓迎すべきなのか考えてみるべき問題です。
同様に「大阪・関西万博」で、外国のパビリオンの建設が始まらない理由の一つに円安があるようです。外国からの出展の予算額では請負金額が合わないのです。行き過ぎた円安は国力の低下であり、将来の国力さえ失わせることになり兼ねません。円安で輸出が好調だとしても、通貨は国の力を示す指標であることを忘れてはいけません。
スポーツの審判員の苦労話を聴かせてもらいました。世界大会や全国大会レベルのトーナメント戦では出場選手は一流なので、審判員も一流でなければ務まらないそうです。一流の技の速さ、切れは一瞬なので、見落とす場合や何が起きたか分からない場合もあるということです。このようなレベルの高い大会では審判員に選手経験が必要なのは言うまでもないのですが、世界には選手経験がなく試験を通過してきた審判員もいるので、難しい決まり手の場合や、技を仕掛けた選手がどちらか分からずに誤審するケースも見受けられるようです。
世界大会や全国大会の準決勝戦や決勝戦を裁く場合、審判員も一流選手であることが望ましい理由はそこにあります。一瞬の見極めが求められる試合の難しさがありますから、審判員はそれを見極める力量が求められます。
全国大会での審判員経験がある元選手の方は、選手が登場してきた瞬間に、大方の力量が分かります。力量を見抜くことで展開が予想できるので、より正確なジャッジができます。それが全てではありませんが、審判員は裁く試合に出場する選手の力量に達していなければ誤審が生じる隙が出てきます。
選手にとって世界大会や全国大会の試合は命です。審判員にはその大会のレベルに沿った力量が求められるので、選手時代と同じような緊張感と気持ちを持つ必要があるということです。