令和6年2月県議会定例会一般質問も最終日を迎えました。本日も4人が登壇して知事を始めとする関係部長と質疑を交わしました。全ての一般質問を終えたので、明日からは予算特別委員会、常任委員会の審査へと移ります。
令和6年3月9日に開催した「和歌山ぶらくり会」の卓話の後、参加者から質問がありました。質疑の前に会場を後にした方から「どんな質問がありましたか。卓話の後にどんな質疑が交わされたのか興味があります」と問い合わせをいただきました。そこで以下に記します。
- 「日本の国際的地位が低下していますが、その原因と対策を教えて下さい」
- 「陸奥宗光だったら今の日本を、今の和歌山県をどう変えていきますか」です。
国際的地位が低下しているのは通貨安に表れていると思います。日銀が金融緩和策を続けていることとアメリカが金利を上げていることによる金融政策の違いにもよりますが、円安は国力の低下を意味しています。円高の時代と比較して現在の通貨価値が低いのは、日本国の実力はこのぐらいだろうと各国、投資家から思われているからです。日本に実力があれば対ドルレートは切り上がるはずですが、1ドル145円から150円で推移しているのはかつてほどの国力に欠けているからです。
今さら言うまでもなくGDPはアメリカ、中国、ドイツに続く世界4位ですし、5位には成長著しいインドが追い上げています。自動車や医療などの優れた技術はあるものの、半導体、電機などのハイテク、AIや宇宙関連技術などのこれからの世界に必要な先進的な技術力も追いついていません。「ジャパンアズナンバーワン」の1980年代であれば、日本はこれらの分野でも世界をリードしていたと思います。
技術力と人材育成の問題はありますが、やはり通貨安を解消しないことには国際的地位は上がらないと思います。ただ、覇権国であるアメリカのように、原油取引はドル以外で決済はできないという基軸通貨にならない限り通貨の価値を維持、または操作できないため自国の金融政策だけでは限界がありますから、技術力と人材を育成すること以外に方法はありません。そのことと通貨の価値を高めることの、どちらも必要だということです。
今年中に金融政策として利上げされると思いますが、それで通貨価値を高めることになります。ただ金利負担が増えるので国債発行の利払いなど国際的にも企業にとってもマイナス要因が出てきます。これまで通貨発行高を増やし金利安を続けてきたため転換に伴う痛みは生じますから、時期とインフレ傾向がどこまで続くかなどの見極めが大事です。
情報収集能力に長けていた陸奥宗光外務大臣ですから、国力を高めるためにはまずは同盟国を中心とした国の先端企業を誘致すると思います。熊本県に進出したTSMCが地元経済効果を高めているように、ハイテク企業や宇宙産業、新エネルギー関連産業などのハイテク産業を誘致することで現在の経済力と将来に向けた技術力を蓄えることができます。これは人材育成にも資することになります。
TSMC進出の経済効果は凄まじく、人が不足していることや賃金が高い水準にあること、工事請負費も他の県の水準の2倍から3倍に跳ね上がるなど、地域発展に大きく寄与しています。まだ人口減少問題にも歯止めをかけることや地価の上昇による資金供給が増えることなど好循環となっています。
他の県も同じように経済効果と地域発展をもたらせるためにはハイテク企業の国内誘致を求めるべきだと思います。
和歌山県にも同じことが言えます。ハイテク企業を始めとする先端企業を誘致することは早く経済効果が認められるので、和歌山県として最初に基幹産業の誘致をすべきことです。但し、国内企業は国土軸が外れていることから和歌山県への進出は難しいと思いますが、外国からみると日本の国土軸は全く関係ありません。企業が求める広大な用地とインフラ、住環境と教育環境。そして医療が受けられることと自然環境に恵まれたリゾート地が近くにあることなどを求めています。
和歌山県には適地性があり、十分に外国企業を誘致できる環境にあると思います。
質疑の主な内容は以上の通りです。
また参加した小学四年生は「おもしろかった。歴史が好きになったと言っていたよ」と感想を伝えてもらいました。手前みそですが、小学生にも分かり易い説明だったことに価値があると感じます。子どもが故郷の歴史と偉人に興味を持つことで、和歌山県に誇りを持つことにつながるからです。感想を語り合う懇親会で参加者からは「90分が短く感じました」と言ってもらえたことから充実した卓話になったと思います。
ガバナー諮問委員会に出席しました。能登半島地震の被災地の状況と支援について聴かせてもらいました。温かい食事を提供するためにキッチンカーを派遣していることや足湯装置や炊き出し、理容の支援などを行っていることを知りました。既に私達が社会貢献しているボランティアで支援が続けられているのです。心が温まる報告を聴かせてもらいました。