活動報告・レポート
2024年2月4日(日)
龍馬World in 和歌山

今回、講演の依頼をいただいた「龍馬World in 和歌山」大会に関して、ここに改めて全国大会の趣旨を記します。

・開催趣旨

幕末から新国家建設への準備を整えた坂本龍馬、龍馬亡き後に新国家の礎を築いた陸奥宗光。 その心は、不平等、不条理の無い自由(自立)・平等(対等)・信頼と尊厳ある人間尊重を基礎とする日本社会を創設し、誰も除外することなく人を活かす、青年の志を実現する国家基盤を創り上げることでした。夢半ばで倒れた「風雲児 坂本龍馬」の志を引き継ぎ、明治政府の要人としてわが国の独立自尊を護った「陸奥宗光伯」。両雄の志が一つと成って近代日本の源(みなもと)が生成されたのです。

龍馬が書き残した「新政府綱領八策」を基に、宗光は明治政府で数々の苦難にぶつかりながらも荒ぶる波濤を乗り越えて“新国家”の礎を築きつつ、外相となって国家主権回復の最重要課題としていた不平等条約の改正に取り組み、明治27年(1894年)7月16日英国との間に日英通商航海条約を締結し、領事裁判権の撤廃、関税自主権の部分的回復、最恵国待遇の相互化に成功しました。不平等条約の改正はわが国の国家主権を取り戻すという、国威をかけた大願でした。

陸奥宗光は龍馬亡き後に自立し、明治政府の一員から様々な苦労の末に大臣となり、国会、憲法、財政、軍備と次々に「新政府綱領八策」に記された“新国家”建設の課題を果たして行き、そして最も難題であった「新政府綱領八策」の「第三義 外国ノ交際を議定ス」…外国との条約をただす、不平等条約を改正するという難題、つまり法の整備を達成しました。

「日英通商航海条約」締結日は、不平等条約の改正が初めて実現された日であり、この日を機に、陸奥宗光 外務大臣は欧米露列強・帝国主義国家15ヶ国と交わされていた不平等条約をすべて改正し、対等関係樹立を大きく前進させて、わが国を列強による植民地支配政策から救ったのです。

坂本龍馬の熱い想いを同志であり、龍馬が弟分として可愛がった宗光が外相になって達成したという奇跡は、わが国の近代日本史に堂々と表明していくべきだと思っております。まさに、不平等条約改正は龍馬の祈願であり、同じ時代の維新の志士すべての大願でありました。

・紀州について

陸奥宗光伯の故郷、和歌山県は山あり海あり川ありの自然に恵まれた地域であると同時に「古事記」「日本書記」(記紀)の大舞台となる深い歴史が生まれたところです。ゆえに、熊野三山、高野山という神仏が宿る慰霊の聖地であることが物語っているのだと思います。この郷土より、近代では陸奥宗光、濱口梧陵、南方熊楠 等の素晴らしい偉人先人たちが誕生しました。

歴史は過去を追うだけではなく、現在に生きる私たちが未来に向けて進んでいく道標にすべきものであると思います。陸奥宗光伯をはじめとする偉人先人たちが希望を抱き、生涯をかけて示して下さったこと、生き様を後世に残して下さったこと、常に心身を磨かれてこられたことに、心より敬意を表する次第です。

本全国大会のメインテーマは「龍馬と宗光 未来への伝言」、サブテーマは「和魂、紀州和歌山にあり」です。和魂とは、日本の心、日本人の魂のことを指します。和の魂は和歌につながります。その和歌とは、日本の春夏秋冬の季語を用いて心を歌う、わが国の情緒を表した古代から歌い継がれてきた教養であり、美(うるわし)い文学でもあります。

つまり、和歌山県とは、優しく日本の心を表現した品格ある美い県名です。和歌山県に誇りを感じる県名の由来ですから、和歌山大会では、和魂、すなわち和歌山県は日本の源流であることを国内外にこの機会に発信していきたいと思っております。 令和6年は陸奥宗光伯生誕180年という年でもあります。陸奥宗光を偲び、宗光の生まれた私たちの和歌山に愛郷、愛県心をともに想いを馳せたいと願います。

日本人としての誇りを抱き、心豊かに希望に満ちた日本国づくりに賛同し、世界のしあわせも共有する有志の集い「第36回 龍馬World in 和歌山」を陸奥宗光の故郷、紀州和歌山で開催するのです。

一年間、楽しみにしていた小説の連載が終ったことは残念ですが、楽しみに読ませていただきました。日経新聞に感謝しています。