活動報告・レポート
2024年1月26日(金)
医療的ケア児等支援センター設置

医療的ケア児の保護者の皆さんが訪ねてくれて、現在の課題や地震など災害発生時の対応などを話し合いました。

最初の議題は、県議会一般質問で取り上げた「医療的ケア児支援センター」が令和6年2月1日に設置されることが決定したことです。当時「令和5年度中の設置を目指します」と答弁をもらっていたのですが、答弁通りに設置が決定しました。ようやくセンターが設置されることで「医療的ケア児」への相談対応や情報提供などの面での対策が前進することになります。センター内には保健師さん1名が配属されることになるので、ご家族の皆さんとの相談を受けられる体制が整い、市町との連携がより一層図れることになります。

ただ支援センターの設置は全国で最後発となったことは残念ですが、遅れた分は先進地の取り組みや事例から学び、取り組みは追い付けるものと考えています。ようやくたどり着いた開設の日を楽しみにしています。

懇談会では保護者の皆さんと、支援センターの設置に向けてスタートした活動を振り返りつつ喜び合いました。但し、設置されたことがスタートなので、支援センターを必要とする保護者からの要望を踏まえて、役割と機能の充実を図りたいと思っています。

今回、支援センターの設置に漕ぎつけられたのは、保護者の皆さんの熱心な活動と、支援センター設置を担当してくれた班の皆さんの取り組みのお陰です。職員の皆さんの思いと熱心な仕事がなければ、年度内の設置は難しかったと思えるほど、懸命に取り組んでくれたことも知っています。保護者の皆さんと共に感謝しています。

支援センターの設置が決まったので、早速、保護者の皆さんと支援センターの視点で県庁内の障がい者用トイレを確認に周りました。トイレ内には車いすの入るスペースとベッドが設置されているので、北別館、東別館、そして南別館のトイレは利用できることを確認しました。

県庁内 障がい者用トイレ 県庁内 障がい者用トイレ

しかし本館の障がい者用トイレはスペースが狭いところを改造してベッドを設置しているため、車椅子が入ると利用のためのスペースが十分ではないことや、トイレに入る前に手前のベッドを下ろすと、人が入れなくなることが分かりました。トイレのスペースが狭い中、考えてベッドを設置してくれたと思いますが「医療的ケア児」の保護者の視点からすると「使いにくい」と思われ、改善の余地もあるかなということです。

また障がい者用トイレ内にベッドを設置しているのは庁舎内の2階であり、障害福祉課のある北別館1階にはないことも分かりました。できるなら、この障がい者用トイレにもベッドを設置してくれることを期待しています。

県庁内 障がい者用トイレ 県庁内 障がい者用トイレ

続いて、能登半島地震から考える「医療的ケア児」の支援について議題としました。避難所には「医療的ケア児」が利用可能なトイレはないと思います。ベッド付きのトイレがないことを前提とすれば、ユニバーサルベッドを非常時のために避難所に保管することが必要です。これは折り畳みが可能な簡易なベッドなので、避難所のトイレの近くにこのベッドを配置することで「医療的ケア児」が利用することが可能となります。災害弱者の視点から、避難所にはユニバーサルベッドの設置を求めたいと思います。

もちろん避難所だけではなく、県庁や市役所、文化施設などの公的施設の障がい者用トイレをベッド付きに改造するのは費用もかかるため、これらの公的施設にユニバーサルベッドを配備することも検討すべきことです。

また和歌山県内の市町では「医療的ケア児に係る個別避難計画は策定されていないのでは」という意見がありました。策定されていない市町があると思いますので、この支援センター設置を機に課題として取り扱ってもらえるよう依頼します。

今回の能登半島地震では、石川県の医療的ケア児支援センターからの安否確認が速かったそうですし、被災地には「医療的ケア児」が23人いるのですが、地震発生から3日以内に全員が病院に避難することができていたと聞きました。災害発生時における「医療的ケア児」の避難が迅速だったことから、石川県ではしっかりと「個別避難計画」が策定されていたと思われます。見習うべき災害発生時の迅速な対応です。

また災害発生時の課題として停電への対応があります。呼吸器を必要とする「医療的ケア児」は電源やバッテリーの充電を消耗してしまうと生命の危機になります。停電は「生命のカウントダウンの始まり」と表現してくれたように、呼吸器がなければ生命が危機に陥るのです。このような視点で「個別避難計画」を策定する、または見直す必要があるので、支援センターの果たす役割に期待しています。

最後に和歌山県では「重度訪問介護」の体制が十分に確立できていないようです。在宅ケアの場合、「重度訪問介護」は絶対に必要で、しかも24時間体制が可能な運営体制を整えてくれることも必要なことです。この課題も、都会と比較して地方都市は遅れていると思うので、支援センターで議論すべきことだと思います。

保護者の皆さんと懇談する中で、和歌山県の取り組みが前進したことを喜び合い、また課題への対応に期待することになりました。