活動報告・レポート
2024年1月24日(水)
避難所の問題

地震、津波など巨大災害が発生した時の避難所生活で大事なものは「TKB」だと聞きました。Tはトイレ、Kはキッチン、Bはベッドを指すようです。災害関連死を防ぐためにも「TKB」が大事だということです。

ところが日本の避難所は長期間の生活ができる環境ではないようです。トイレが汚い、栄養価のある食料がない、ベッドがないので感染症が広がりやすいなど、欧米の先進国と比較として災害への備えが遅れているようです。多くの場合、避難所は学校の体育館が指定されているのですが、生活する環境に適しているとは言えないのです。日常的に体育館で生活している人はいないので、快適なトイレ、食事の提供、そして快適な睡眠がとれるベッドは当然なく、避難所として緊急避難するとしても長期間も生活する環境にないということです。

今回の能登半島地震の避難所の報道を見た時、体育の授業で使うマットを布団代わりにしている光景がありました。「マットを布団にして眠ることはできないのでは」と思いました。小中学校の時を思い出すと「マットは固くて独特の匂いがしていた」ように思うのです。

避難所に指定されている多くの体育館では段ボールベッドの備えはないと思いますし、キッチンもないと思います。トイレも必要数が不足していると思いますし、洋式トイレになっていない体育館も多いように思います。

事実、能登半島地震の避難所のテレビの映像を観た多くの人から意見を聞いています。

  • 「避難所生活はプライバシー空間、時間がないので、数週間も耐えられないと思います。トイレやベッドも非日常なので、私には避難所生活は出来ないと思います」
  • 「避難所は生活できる空間ではありません。体育館を避難所に指定して備えがあると考えるのは時代遅れです」
  • 「避難所生活の報道を見ていると、体育館が避難所であれば避難したくないと思います。和歌山県では南海トラフの巨大地震の可能性が言われていますが、逃げたくないと思ってしまいます」
  • 「避難所生活に耐えられる自信がありません。まして数週間も体育館で生活することは無理です」

以上のような避難所生活に関する意見が多数寄せられています。僕も今回の能登半島地震によって、避難所の考え方が変わりました。

体育館を避難所に指定するのは時代遅れで、一日、二日程度は体育館を避難所として利用するのは理解できますが、その後はホテルや旅館を避難所として利用するように指定すべきだと思います。日本の避難所は整備が遅れているだとか、避難所の考え方が遅れているなどの指摘があるように、飲料水や保存用食料、毛布などを備えておけば避難所として利用できると考えるのは古いのです。快適な空間とまでは言いませんが、プライバシーが確保できる空間や、感染症の予防につながる高さの段ボールベッドや換気など衛生面での配慮も必要です。

避難所として活用が可能な船舶やトレーラーの早期配置は可能な対策ですし、トイレの数と清潔さを保つことは、避難所として最低限必要な機能です。

体育館を避難所に指定し必要数は確保しているから大丈夫の考え方ではなく、生活できる避難所をつくることや、二次避難所への早期移動も考えるべきです。市内外のホテルや旅館との被災した場合に避難所として活用するための提携に関しても、検討が必要だと思います。これら観点とスフィア基準についても考慮した避難所のあり方を考えてみます。