活動報告・レポート
2024年1月12日(金)
中野雅至先生の講演
中野雅至先生の講演
中野雅至先生の講演「企業が担う日本の行方」を聴かせてもらいました。現在神戸学院大学教授の先生の講演は学生に向けての授業を聴いているようで、分かり易く明快に現在の社会の課題と将来について説明をしてくれました。主な項目で僕が感じたことを以下に記します。
- 現在、日本企業の業績は良い。国内需要よりも海外の子会社の業績が良いので利益を上げています。海外に拠点のある企業はその点が評価されて株価は上昇しています。主に国内市場の企業の株価は上昇していないので国内需要の回復が課題です。
- エネルギーコストを抑制することが政府の課題の一つです。電気料金やガス料金を安定させるために、約8兆円の補助金の財政出動をしています。本来、エネルギーは安定供給と価格の変動を抑える必要がありますが、電力自由化をしたため不安定になっています。発電事業者で市場を形成すべきですが、元々、発電設備を持たない企業を参入させたこともエネルギーを不安定にさせている原因です。
- 現在の経済はK字型です。V字型であれば経済は回復基調を意味していますが、K字型は業績の良い企業と良くない企業が明確に分かれている状態です。
- 今年の物価は落ち着くと見ています。ただ日本企業が製品値上げをすることに躊躇しすぎているようです。外国企業はコストが増えた分は値上げをするのは当たり前なので、値上げで企業が謝ることはしません。値上げをして謝るのは日本だけです。必要経費を乗せて値上げができない社会なので賃上げの原資が出て来ないのです。
- 日本企業に求められていることは次の三点です。
- 仕事の効率化
生産性を上げることですが、人手不足や価値観の異なるZ世代の雇用などで、生産性を上げることは簡単ではありません。 - DXとロボットへの対応
DXは大企業がすべきもので、例えば従業員が10名規模の会社でDXをしてもコストダウンが図れないので導入することの意味が少ないので、全てにおいてDXやロボット導入を求めるのはいただけない。 - 製品価格を上げるか、サービスレベルを下げるかの選択。
日本企業のサービスは価格に転換していない、または転換する率が低いことが特長です。欧米と比較して日本のサービスは過剰品質になっています。人手不足の解消のために、今後は過剰サービスを見直す企業も出てくると思います。
- 仕事の効率化
- 大学生から見たZ世代の特徴
本を読まない学生が多くなっています。インターネットで情報はタダなので、本や新聞を買って読む必要はないと考えています。
高度成長期やジャパンアズNo.1の時代には生まれていないので、私達と同じ価値観ではありません。生まれた時から日本の経済は世界三位で、アメリカと中国の次だったので、世界を席巻した時代の日本を知らないので言っても無駄です。私達が明治維新を知らないのと同じです。 - 人は資本の時代になっています。人はコストと考える経営者のいる企業は衰退していきます。Z世代の時代、人は財産でありコストではないことを認識し、発想を転換する必要があります。
- 企業が採用したいと思う人材は女性の方が多くなっています。理由は自然な笑顔があることです。笑顔の出る人と難しい顔をしている人を比較すると、人事担当であれば笑顔の出る人を採用します。女性の方が自然な笑顔が出ますから、企業は採用しているのです。男性に活気が欲しいところです。
- 少子化は深刻な問題です。30年後の人口予測は必ず当たります。現在の50歳以下の女性の人口から推測しているからです。少子化問題は「子育て」と「未婚化」の問題に分けて考える必要があります。
政府が行っている政策は子育て支援であり、少子化対策ではありません。問題は「未婚化」なのです。50年前も今も結婚している女性の特殊出生率はおよそ2人で変わっていません。問題は未婚女性が増えていることから子どもが減っていることです。安心して結婚できる社会を築くことが少子化対策であり、若い人達に「日本社会の未来が明るい」と思える政策が重要なのです。明るい未来が見えないことが政治の大きな問題です。
元気で明るくユーモアいっぱいの中野先生の講演は素晴らしかったです。