東京から若い経営者が和歌山市を訪ねてくれました。昨年、ご縁をいただき、その人柄の良さでその後、おつきあいをさせてもらっています。本日、挨拶のため来ていただき、じっくりと懇談しました。
「私が人に求めるのは心と技術です。技術のある人材は見つかりますが、心のある人材は滅多に巡り合いません。心のある人がいればすぐに採用します」と話してくれたことが印象に残りました。技術者を雇用することは難しいことではなく、心のある人を探すことが難しいので、心ある人材こそ宝物だと言うことです。
若くしてその境地に辿り着いたことに天性のものを感じます。恐らく多くの経営者が辿り着いた結論の一つだと思いますが、30歳代で得難い人材の資質を分かっていることに感服しました。
気持ちを持って人と仕事ができる資質、協調できることや取引先の人から好かれることなど、心ある人材ができることです。仕事は好きか嫌いかによって影響を受けます。どんなに条件が良い仕事でも、嫌いな相手と組むことはありませんが、利益が少なくて困難な仕事でも好きな相手となら一緒にやる判断を下すことがあります。そこには「その人の心」が存在しているからだと思います。
また「私が直接、物事を伝えられる社員は精々5人ぐらいです。それ以外の社員に直接伝えることは時間の制約があることや職責上できません。だから直接の部下には強く厳しい態度で接しています。私の言葉や方針を幹部社員が部下に伝えることになるので、私の言葉の熱量が少なければ、部下には全く伝わらないからです。できる限りの熱量を持った言葉で幹部社員に思いや考え方、方針を伝えても、幹部から部下に伝わるのは、その熱量の中の限られたパーセントに過ぎません。だから直接話せる相手には強い言葉で伝えているのです」。
その通りです。直接言葉を伝える場合と間接的に伝わる場合とでは、どうしても熱量が違います。だから思いを直接、伝える機会があれば、思い切り熱く伝える必要があるのです。
人として心を大切にすること、人には熱意のある言葉で伝えること。経営者としては勿論のこと、人としてもとても大事なことです。このような経営者だからこそ、周囲に人が集まってくるのだと思います。事業が拡大していることや多角化しているのは、人が集まっていることの証明であり、良いご縁をいただいた人との仕事は「利益が薄くても道筋が見通せたなら一緒にやる」姿勢で取り組んでいるのです。
さて今回、和歌山市に来た目的は和歌山市に一つの会社を進出させるためです。東京を拠点に沖縄県などでも事業展開していますが、今回「和歌山市に進出する」ことを決めたのは「昨年、片桐さんとご縁をいただいたこと。片桐さんがいるから進出しようと決めたのです」と話してくれたのです。良いご縁をいただいた上に進出を決めてくれた動機づけになっていることを嬉しく思います。
和歌山市でのビジネス展開に関する構想を聞かせてもらい「早急に形をつくって和歌山市での人員募集を始めます」と伝えてくれました。
和歌山市にとって雇用確保は大きな課題です。企業に来てもらって雇用してもらうことが経済と生活の基盤となりますので、今回の進出を歓迎しています。また地元で法人を立ち上げてくれることも嬉しいことです。「信頼している心ある一人を和歌山市に赴任させて雇用や仕事の基盤づくりをします。また技術指導に関しても東京から一人、和歌山市に派遣しますので大丈夫です」と語ってくれました。
今春、彼の拠点づくりを応援できることを楽しみにしています。良い時間を共有させていただき感謝しています。