活動報告・レポート
2023年11月30日(木)
ジョン万次郎とフランクリン・ルーズベルト大統領
ジョン万次郎とフランクリン・ルーズベルト大統領

ジョン万次郎の長男の中濱東一郎は東京大学医学部を卒業した医師で「和歌山県と関係があります」と教えてくれました。

それは「トルコの軍艦エルトゥールル号が串本沖で沈没した事件は有名ですが、エルトゥールル号の船員の間でコレラが流行したそうです。その乗組員のコレラ感染者の治療に努めた医師が中濱東一郎だったのです」という話です。エルトゥールル号事件は当然、知っていますが、ジョン万次郎の長男が関係しているとは知りませんでした。紀州と土佐の関係性がとても強いと感じる話です。

令和6年夏の和歌山県は、坂本龍馬、陸奥宗光外務大臣、そしてジョン万次郎の舞台となりますが、さらに関係性が強いことを知り、歴史の巡り合わせの不思議さとご縁を感じています。まさか中濱東一郎が、トルコの軍艦エルトゥールル号と関係していたとは思いもよらないことでした。

来年の夏はジョン万次郎の子孫が和歌山県を訪れてくれるので、この話をもっと深く聞かせてもらいたいと思います。来年の夏に和歌山県で開催する二つの大会が、幕末から明治にかけての歴史に埋もれた物語を掘り起こし継承していく機会になれば良いと思います。

また、太平洋戦争に突入する時、フランクリン・ルーズベルト大統領は「日本にはジョン万次郎の子孫、中濱家の人達がいるけれど、戦争になっても大丈夫だろうか」と心配したという逸話も聴かせてもらいました。実はジョン万次郎を尊敬していた大統領は、アメリカと日本との友好を唱えていたというのです。

そこでルーズベルト大統領と中濱家の関係を調べてみると、ジョン万次郎の子どもの中濱東一郎宛に大統領から手紙が届いた話が見つかりました。以下に「ジョン万次郎資料館」の資料から引用します。

万次郎の死から35年後の1933年(昭和8年)の夏のある日、東京・田園調布に住む万次郎の長男である東一郎の元に1通の手紙が届いた。差出人の名は、アメリカ合衆国第32代大統領・フランクリン・デラノ・ルーズベルトであった。

実は、ルーズベルトの祖父・ワレン・デラノは、万次郎を救助したホイットフィールド船長の親友であり、捕鯨船ジョン・ホーランド号の共同船主であった。少年時代、ルーズベルトは祖父から万次郎の話をよく聞いていたという。手紙には、ワシントンで石井菊次郎駐在大使と会った時に万次郎の話題が出たことや、幼少に聞いた万次郎の話、例えばホイットフィールドが万次郎をマサチューセッツ州のフェアヘーブンに連れて帰り、学校に通わせ教育を受けさせたことや、時にデラノ一家が万次郎を教会に連れて行ったことなどが書かれてあった。

少年・ルーズベルトにとって、万次郎は大きな憧れであったのだ。万次郎の人生が、まるで一平民が公爵にまで上りつめたサクセスストーリーのように思えたという。

ルーズベルト大統領は、当時の緊迫した日米関係を憂慮し、戦争を回避したいという願いを持って中濱東一郎にこの手紙を差し出したと聞きました。歴史の裏に潜む人と人をつなげているエピソードに出会い感動しました。

その他
  • 地域振興の取り組み事例と和歌山県での展開の可能性について会議を行いました。地方都市における事業所や商業施設、飲食店などは投資と集客が最大の課題です。少ない投資で集客を図り売り上げを高めることが懸案ですが、それを解決できるソリューションはありません。ないものを願っていても意味がないので、先進事例の紹介や改善のための方法について議論を行いました。
    関西では今日から500日後に「大阪・関西万博」が控えているので、和歌山県にとっても誘客と売り上げを高めるためのチャンスとなります。今から対応策が必要です。
  • 現在のエネルギー問題と環境問題の課題と将来のあり方に関する会議に出席しました。わが国が、2050年にゼロカーボンを達成することは極めて困難な挑戦です。急に実現できることはないので、今もそこに向けて挑戦している現状を説明してもらいました。
    まずは資金と技術の両方を用意することが前提で、どちらもない状況から達成に向かっている最中です。政府では今後10年間で約20兆円規模の政府支援を予定しており、それに伴う官民投資額は今後10年間で150兆円を超える規模を予定しているようです。
    投資先は産業競争力強化と経済成長に資するものであり、かつ、排出削減の実現に貢献する分野を予定しています。そんな現状と将来達成すべき取り組みなどを聴かせてもらいました。