シンガー、坂本つとむさんが和歌山市に来てくれました。秋の全国ツアーに周っている最中ですが、和歌山市でミニコンサートを行うため来県してくれたのです。先週に案内をいただいたので、半島振興地方創生対策特別委員会視察から戻ってから参加しました。
コロナ禍前は数回、和歌山市に来てくれてライブハウスでコンサートを行ってくれていたのですが、この4年間は会っていませんでした。今回、和歌山市に来てくれたので「坂本さんが来てくれるなら行きます」と答えて一も二もなく参加しました。
坂本さんはロックンローラーで、ビートルズと出会って音楽の道に進もうと思い、キャロルに憧れて上京しています。その影響で歌のジャンルはロックンロールです。聴きやすくてノリが良く、懐かしいリズムに心体が躍ります。
坂本さんとの思い出で忘れられないことがあります。コンサートのため、7年ほど前に和歌山市に来てくれたときのことです。夕方からのコンサートの予定だったので、子ども達や知り合いのところを訪ねてくれたのです。この趣旨は「僕たちと会うことで、僕たちの音楽を聴いてもらうことで元気を与えられたら嬉しいから」というものでした。
当時、キャロルのファンで飲食店を経営していた人がいました。「坂本つとむさんが和歌山市に来ているけれど来てもらおうか」と言ったところ「是非来て欲しい」との返事だったので、コンサートの少し前の時間にお店に行ってもらいました。
実はこのお店に行ってもらう理由があるのです。この方は末期がんで医師から「これ以上治療をしても治らない」と宣告されていたのです。それでも「体力が続く限りお店続ける」と頑張っていたのです。
坂本つとむさんに依頼をして、夕方、この方のお店に行ってもらうと、ファンなのでとても感激してくれました。店内での会話と色紙とCDへのサインのプレゼントなどをした後、「応援しているから病気に負けないように」と励ましてくれました。
その後、がんの進行が止まり、休むことなくお店を続けることが出来たのです。「訪問して激励してくれたので、とても元気になっていますよ。お店も続けています」と坂本つとむさんに伝えると「良かった、本当に良かった」と喜んでくれました。
会いたい人に来てもらって話をすることが、病気の進行を止めるほどの力を持っていると感じたのです。決して対談や懇談ではなくても、他愛もない会話で良いのです。
ですが、その人の症状は回復することなくお亡くなりになったのです。でも余命半年と言われていたけれど、それから2年近くお店を続けられたのです。
坂本つとむさんに、お亡くなりなったことを伝えたところ「残念です」と心から無念に思って言葉を発してくれた気持ちを感じました。
僕は坂本つとむさんが、コンサート前のお忙しい時間の合間を縫って末期がんの人を訪ねてくれて激励してくれたことを忘れてはいません。
今日、数年前と変わらない姿で元気にロックンロールを歌ってくれました。令和5年1月に還暦を迎えていますが、姿も気持ちも歌も当時のままで変わっていません。「坂本さんはこのように、多くの人に元気を与えているんだな」と思いながら、心地よいリズムのロックンロールを聴いていました。
ミニコンサートは約1時間とアンコール一曲でした。わずか1時間でしたが、坂本さんとお客さんは心が通い合った時を刻んだように感じています。坂本さんの歌は激しいロックンロールではなくて、聴く人の心に届く優しいロックンロールだからだと思います。
僕にとっても励ましてくれたような、とても短くて楽しい1時間になりました。握手と笑顔だけで通じ合いました。
「来年の春、また和歌山市に来て歌います」と話してくれたので、「是非、来て下さい。今日来れなかったあの時のメンバーにも声を掛けますから」と答えました。
コロナ禍という歌を聴く機会を遮断した時間がありましたが、経過した時間と共に絆は深まっていることを感じました。全国ツアーの合間に、和歌山市で開催してくれた今日のミニコンサートに感謝しています。