活動報告・レポート
2023年11月28日(火)
半島振興地方創生対策特別委員会二日目
石川県立図書館 百万石ビブリオバウム

令和4年7月に完成したばかりの石川県立図書館「百万石ビブリオバウム」を視察しました。この図書館のスケールと迫力は圧倒的な存在で、事前の期待を大きく超えるものでした。

この斬新な図書館建設に当たっての基本コンセプトは次の二点だと説明を受けました。

  1. 石川県民の文化活動、文化交流の拠点として、石川県民に開かれた文化、および石川県の新たな知の殿堂を目指すと言う機能。
  2. 石川県が誇る伝統文化と生物文化多様性をテーマとした図書や資料のコレクションを行うこと。

この二つのコンセプトの通り、平日にもかかわらず大勢の県民と学生が図書館を利用していました。副館長の説明によると、平日で約2,500人土曜日と日曜日は約5,000人の利用者があるようです。

石川県立図書館 百万石ビブリオバウム

また蔵書は約230万冊で、図書館の本棚には約30万冊を並べているそうです。

さて図書館に入って最初に驚くことは、中央の円形広場を囲むように図書が配置されていることです。これまで、このようなスタイルの図書館は見たことがありません。

また普段は本を読まない人にも読書に親しんでもらえるよう、同図書館が独自に決めた12のテーマに沿って図書を配置しています。例えば「暮らしを広げる」「仕事を考える」「世界に飛び出す」などです。

このようなテーマに沿って図書を配置しているのが特徴で、これまで図書館を利用しなかった人でも、目的の本を探しやすくなっています。

石川県立図書館 百万石ビブリオバウム

例えば、アメリカに関心のある人の場合「世界に飛び出す」のコーナーに行きます。このコーナーに行くとアメリカの「歴史や文化」「食事」「観光地」「米国語」「音楽」など、従来の分類と異なり、アメリカについて必要な本を探すことができます。

従来の分類方法だと、アメリカの食について知りたければ「衣食住」のコーナーで探す必要があり、アメリカの歴史を調べたければ「歴史書」のコーナーに、アメリカの音楽を調べるには「音楽」のコーナーに行く必要がありましたが、この図書館では1カ所で完結することになります。

このように普段、図書館を利用しない方でも簡単に目的の本を探せるので、気軽に利用する人が多くなっているようです。

もちろん専門書も専門書のコーナーが充実しているので、今日の視察時も高校生や大学生の姿がありました。

とにかく図書館というよりも、美術館や博物館、学習の場や交流の場などの機能を持っているように感じました。そして図書館の空間は広大で、美しい広場に来ているような安らぎと開放感がありました。

石川県立図書館 百万石ビブリオバウム

利用者の中には、週に3回も勉強のために訪れている学生もいましたし、子育て世代の親子が子ども連れで来ている場面にも遭遇しました。

またこの図書館のルールは「おしゃべりをしても良い」「閲覧エリアでは、ペットボトルや水筒など蓋が閉まる飲み物に限り持ち込みも可能」となっています。

そのため図書館独特の重くて静まり返った雰囲気はなく、情報交換をする場であり、知識を得るための学習の場というイメージが強く前面に出ていたように感じました。

まさに石川県が目指している文化立県を象徴する自信を持って作り出した図書館だと感じました。

ところで職員さんに、歴代の石川県知事のスタイルについて尋ねました。

「自分の知事時代だけではなく、次の時代を考えて必要な投資を行うこと。投資したものが県民の財産となり、地元の私達が石川県の伝統と文化を引き継いでいくことを目指してきた」と答えてくれました。

石川県立図書館 百万石ビブリオバウム

この文化性は、歌舞伎者と謳われた前田家のDNAが県内に根付いているかも知れないと思いました。

一方、和歌山県は質素倹約を実践した徳川吉宗のDNAが引き継がれているようにも思います。どちらが良いとか悪いとかではなく、先人達の行いこそが伝統であり地域の文化だと思いました。

人口、約46万人の金沢市から和歌山市も学ぶことがありました。県民が必要とする情報や知識、文化活動などで将来につながると判断したことには、思い切って投資をする姿勢が必要だということです。