活動報告・レポート
2023年11月16日(木)
現場の現実
現場の現実

友人の経営者を訪ねて懇談する機会がありました。「片桐さん、毎日、お忙しいと思っているので年末になれば連絡しようと思っていました」と挨拶してくれました。そこで賃上げと販売価格、そして社会保険制度について話を聴かせてもらいました。

最低賃金が上がったので私のところでも賃上げをしました。私のように小さな会社は従業員も少ないのですが、最低賃金が上がるとそれに応じて賃金を上げてきました。今回も月例賃金をけ上げたのですが、日に6万円の賃上げとなりました。会計で言うと人件費が一日6万円上昇したことなので、会社経費が上昇したことになります。

その分売り上げを増やすか、他の経費を削減しないことには利益が減少することになります。しかしインフレ傾向にあることから物価が上昇しているので商品の小売価格が上がっています。

価格が上昇しても、お客さんが今まで通りに買ってくれたらよいのですが、売り上げは落ちています。夏以降は毎日、10万円の売り上げが減少しているので、人件費分と合わせて毎日16万円のお金が消えていることになります。

ここに社会保険が入るので、只でさえ薄い利益だったので利益がなくなるどころか赤字に転落するような状況です。

私は従業員さんの給与を上げたくないと思っていないばかりか、毎日懸命に仕事をしてくれているので給与を上げたいと思っているぐらいです。でも給与を上げたことで経営が苦しくなっているのも現実です。社会保険も一人当たり2万円ぐらい増えそうなので、この分も会社負担が増えることになります。

従業員の給与と処遇改善はすべきものだと考えていますが、売り上げがコロナ禍前に戻らなければ、経営は厳しいままなので、事業形態を考える必要があります。でも既に、経費削減は限界ですし、雇用を減らすこともできません。売り上げを増やす方法も試してはいるのですが、お客さんの購買意欲が戻らないことには個人レベルでは難しい問題です。

仕入れ先からの仕入れ価格を下げてもらうことや、販売価格を上げることで改善されますが、どちらも簡単なことではありません。

県政で何とかしてと言うべき問題ではありませんが、小売り現場の状況を分かって欲しいと思います。県行政も知事も来てくれることはありませんが、県庁内で見ているような統計の数字だけでは分からない現実があります。

その通りで、数字は経済の傾向を示しているので県内経済の全体像は推測できますが、働いているのは数字ではなく人なのです。給与水準と社会保険、働き甲斐や経営者に対する気持ちなどの仕事に関わる要素がありますから、現場を見なければ分からない悩みや将来不安があります。

政府が唱えているような賃上げや労働条件の改善など、大企業であればできる取り組みがありますが、小さい規模の会社では、利益率は薄いためこれらのコスト増に対応できないのです。

また経費削減もこれまでも徹底して実施しているので、話を伺うともう限界に達しているように思います。こんな状況で地方の経済が回復するとは到底思えません。雇用を守ってくれているだけでも有り難いことだと思えます。

最後に、「和歌山市で生活と仕事をさせてもらっているので、お役に立ちたいと思って事業をしていますが、このままでは事業環境の厳しさが増すばかりです。地域の小企業は大企業と全く違うので、県政は現場を知って景気対策や発言をして欲しいと思います」と話してくれました。

本音の話ができる関係にあることからこのような話ができています。県政に意見を反映できるよう取り組みます。

その他
  • 交通安全に関する協議を行いました。歩行者の安全確保のため道路の環境を整備する必要があります。狭隘な生活道路、横断歩道での一旦停止や目立つような標識の設置など、地域の要望を聞いて対応すべきことは決してなくなりません。発生の都度、対応しているところです。
  • 田辺市を訪れて地元と東京から来てくれた事業家の皆さんと会議を行いました。地方創生や首都圏の会社との連携など、和歌山県らしい事業を創出することを目指した会議となりました。今日をスタートにして、さらに発展させていきます。
  • 昨日訪問した会社から、有り難いことにお礼の連絡をいだたきました。「来社してくれたこと、ご縁をいただいたことに感謝しています」と伝えてくれました。気持ちの良い言葉に感謝しています。