和歌山県議会建設委員会において、現在、工事中の紀伊半島一周高速道路の「すさみ串本道路」区間の工事現場を視察しました。完成予定は令和7年度なので、既に全区間の用地の確保は完了していて、準備が整った区間から工事に着手しているところです。その中で橋梁を設置中の現場を訪れて説明を聞かせてもらいました。
この「すさみ串本道路」は、東南海、南海地震発生時の避難場所として活用をすることも考慮し、現在の国道よりも山側に建設されています。そのためトンネルや橋梁が多く、工事現場は期限内の竣工を目指して常に動いています。
今回「すさみ串本道路」の橋梁の上部後の施工現場を歩きましたが、串本のきれいな海を見渡せる位置に設置されています。
令和7年度に供用を開始する予定ですが、完成すれば産業振興と観光振興、そして生活道路や津波発生時には、町民の方々が避難する場所として活用される道路となります。
また串本町では民間ロケット発射場が設置されて発射を待つばかりなので、ロケット発射時の観光客の誘導や混雑解消など、ロケット発射時の観光振興にも大きく寄与することになります。
建設単価は概算ですが、1キロメートルあたり約90億円だと聞きました。建設単価は他の現場よりも高めですが、ここには用地買収費用や工事現場に侵入するための仮設道路などのコストも含まれています。またトンネルや橋梁が多いことから予算がかかりますし、山間部が多く難しい土木工事を懸命に進めてくれていることが分かりました。
現在の土木、建設工事の成果は開通予定の2年後に現れますが、今の工事があるから将来の結果が導かれる。懸命に取り組んでいる工事現場を見てそのように感じました。
また、最近の土木現場には、ICTを活用した工法が活用されています。ドローンの活用はもちろんのこと建機にもICTが活用されています。
例えば斜面の掘削を行う建機にデータを読み込ませることにより、素人の新人であっても少し研修を受けただけで経験者に劣らないような仕事ができると聞きました。一般的に、斜面の掘削を設計通り正確にする技術を身につけるには10年程度を要するそうですが、このICT建機を使うと新人や経験のない人でも仕事ができるそうです。
まだ少し将来の話になりますが、これまで土木現場での仕事に従事できなかった未経験者や障がいを抱えた方などの雇用にもつながると聞きました。ICT建機を利用した和歌山県内における最先端の説明と工事現場を視察することができました。
今後は土木工事を発注する側も、ICT建機を利用した手法を仕様に織り込むことなど検討する必要があると思いました。
和歌山県「すさみ串本道路」の工事現場で、最先端のICT建機を活用した取り組みを確認させていただきました。
建設委員会として南紀白浜空港の取り組みについて視察を行いました。テーマはAIを活用した自動運転車による滑走路の点検、AIを活用した手荷物検査の実施など、地方空港だからこそできるAI技術の実証実験を行っています。
特に昨日、記者発表したAIと自動運転による滑走路の点検は、南紀白浜空港が全国の空港に先駆けて実施しようとしている取り組みで、仕事の省力化、現在の人手不足などに対応するものです。
滑走路にできた小さな凹みや傷、例えば2ミリから4ミリの傷であれば、AIが察知することができますから、これまで人が目視で点検していた事と比較すると格段に精度が上がることになります。
また、人が運転しながら滑走路の目視点検をした場合、飛行機の到着時間や安全性の確保などからも大変なストレスがかかっていたそうです。滑走路の点検業務の仕事は責任がありストレスがかかることから、離職率の高い仕事でもあるようです。点検業務の自動化はこれらの労務管理の改善にもつながるとの説明を聞かせていただきました。
また日本で1年間に空港を利用している人数は約3億3000万人だと聞きましたが、その80パーセントが羽田空港、成田空港、そして関西空港など大都市にある空港で占められています。南紀白浜空港は、全国に97ある空港のうち57番目の利用者数となっている地方空港です。利用者数が少ない地方空港なので、新しい技術を実験するには適した地方空港だといえると説明してくれました。
現在、AIと自動運転による滑走路の点検業務は実証試験中ですが、成果を確認して新しい技術が生み出されると、他の地方空港にもパッケージとして展開できるビジネスモデルになりそうです。今後の地方空港のAI技術を使ったモデルとなる成果を期待しています。
一通りの説明を受けた後、滑走路に入らせていただきAI と自動運転可能な電気自動車を見せていただきました。滑走路点検用のコンパクトな作りの車でしたが、最新の技術が詰め込まれているので、早い段階での実用化を期待したいところです。