新聞社の方と懇談した時の話の一部です。地方政治について意見を述べてくれました。
「地方政治には夢が少ないですよね。地方の小さな会社が物価高で苦しんでいる時にインボイス制度を導入したことや、自分がトップにいる県なのに物価高を政策で抑えることができないなど、現実的には政策がないのですね」と話してくれました。
ひとつは地方自治体には財政がないことが原因ですし、経済対策は政府が担っているので地方自治体で出来ることはないのです。だから首長に対して不満が出てきます。
地方自治体の首長の置かれた立場はそんな環境ですが、議員や県民からは政策は求められます。
「経済環境が厳しいから地元企業を救済して欲しい」
「今春も値上げがあったのに、また値上げの秋で生活が苦しい。県民の家計を支えて欲しい」
「コロナ禍のときに金融機関から借りた資金の返済が始まっていますが、売り上げが回復していないので、これでは会社がもたない。返済時期の延長や借り換えなどの猶予期間が欲しい」
こんな意見が出ていますが、残念なことに地方自治体では直接的には解決するための政策がありません。
大きく考えれば、県内経済を上向かせるためには、基幹産業になり得るような企業誘致や次世代の再生可能エネルギー設備の導入などが考えられます。企業を誘致することで雇用と税収を増やすことによって域内経済を上向かせることができます。残念なことに、地方自治体には金融政策ができないので、短期的な経済対策は不可能なのです。だから大きく地域を動かすことを考える必要があるのです。
大阪府が「大阪・関西万博」の誘致や統合型リゾートの誘致をしたのは、地域の雇用と経済を考えての政策です。和歌山県でも統合型リゾートの誘致や企業誘致を政策として考えたのは、大型の民間投資によって地域経済を動かそうとしたからです。
つまり地方自治体には大型事業を誘致すること、今の時代ならハイテクや情報、再生可能エネルギー産業の誘致や国内の基幹産業、または外国からグローバル企業の受け入れなどを政策として掲げるべきなのです。
新聞社の方の話では「魔法が必要なんです」ということです。「魔法」とは、県民の皆さんが期待できる政策、和歌山県の将来の希望になるような政策を示すべきだと解釈しています。
言葉を借りると「魔法を使えない首長は魅力がないですね」ということです。
実務的な政策は行政職員が考えることができます。ところが職員が考える政策は魔法ではありません。首長は県民の皆さんに夢を与えられる政策、将来に希望の持てる政策を掲げるべきなのです。それが「魔法」なのです。できるかできないか分からないけれど、目指すべき政策として掲げ、それに向かう道筋を示すことが必要です。「魔法」ですから現実的に考えると「実現性に乏しいかな」と思われたとしても、「夢を感じるし希望が持てる」と思ってもらえたら「魔法の政策」となります。
新年度の予算編成に向けては、現実的な政策と共に魔法の政策が必要となります。「魔法」がないと夢も希望もありません。特に現状のままでは厳しい和歌山県には、将来性を感じられる夢と希望が必要です。
ハイテク企業や次世代の再生可能エネルギー産業の誘致。和歌山駅前の再開発や中心市街地の再生なども「魔法」が必要です。政策として掲げても「魔法」を使わなければ実現性は乏しくなります。「魔法」が必要となるのは直ちに根拠を示せないからです。今直ぐの実現は難しいとしても「魔法」によって将来は実現できる政策として語ることが首長に必要なのかもしれません。
新聞社との懇談での「魔法」の話でした。