活動報告・レポート
2023年10月10日(火)
南加和歌山県人会
南加和歌山県人会
南加和歌山県人会

和歌山県人会世界大会に参加のため来県してくれた南加和歌山県人会の上原淳生さんを囲む会を開催しました。上原さんは長年、同県人会の会長の重責を担い、ロサンゼルスと和歌山県の人的交流の中心的役割を担ってくれていました。

同県人会では奨学金制度を設置していて、日本と和歌山県を知るために留学を希望する学生を支援しています。これは「先人が積み立ててくれた奨学金基金で、私達の代が受け継いで継続して日系の学生たちを支援しています。希望は私達の故郷である和歌山県に行って勉強した医学生を支援することです。最低限、日本のことを知るために学ぶ希望を持っている学生の留学費用を支援しています」というものです。

今回、上原さんとの懇親会を楽しみにしていました。上原さんは29歳の時に渡米し、シカゴからイリノイ州へと移り、そして現在はロサンゼルスに在住しています。渡米に際しては3カ月の学習期間を設け、英語が読めるようになってからシカゴに入ったのですが、現地では話す言葉と仕事に就くことに苦労した経験を話してくれました。

それでもアメリカでエンジニアの仕事をするために渡米したので「ここで成功しないと」と懸命に働いたことも伝えてくれました。多くの経験を重ねての結論は「アメリカは自由で好きなことが出来るけれど、自己責任を負うことになるので慣れるまで精神的に大変でした」ということです。

お金をいただいて仕事をする限り、当然のことですが仕事の結果に全ての責任を負うことになります。「フリーなら結果は問われないのですが、お金をもらうと結果責任が伴うことになりますから、アメリカ人の要求はきついので、事前にどこまでやれるとしっかりと説明することと、納得してくれなければ無理に引き受けないことが大事なこと」だということです。

そこから「経験は土台になる」ことや「元気は宝物」だと思うようになったそうです。経験したことは、それ以降の生活や仕事に生かすことができますし、今日を元気に過ごせることは何事にも代えがたい幸せだと思えるそうです。

だから「今日の皆さんとの懇談会の時間も私にとっての宝物です。大事な時間を一緒に過ごすのだから、この時間は宝物以外の何物でもありません。今日の日は宝物です」と話してくれたほどです。

今から16年ほど以前のことです。上原さんがブラジルの和歌山県人会の記念式典に出席した時、当時の知事に対して「和歌山県から外国に渡った人はそれぞれの地域で活躍しています。県人会同士で交流していますが、故郷である和歌山県で集まる機会はありません。是非、和歌山県で県人会の大会を開催し下さい」と要望したことを聞きました。

その結果、2019年に第一回世界大会が開催され、2023年に第二回目の世界大会が開催されたのです。このペースで続けると、次回は4年後の2027年に開催されることになりますが「今から4年後の世界大会に来ることを楽しみにしています」と語ってくれました。

そして「私の年齢になってできることは、これまでの経験を次のゼネレーションに伝えることです。だから和歌山県の皆さんとの交流機会は有り難いことですし、和歌山県とロサンゼルスの会員ともっと交流したいと思っています。既に孫の世代になると、日本語が話せない子どもなので日本語の学習をして欲しいと願っているので、故郷の日本、中でも和歌山県に留学して欲しいと思っています」と、心に秘めた熱意を伝えてくれました。

南加和歌山県人会

上原さんを囲む会は瞬く間に過ぎていきました。上原さんは現在「タイムバンキング」に注力していて、ロサンゼルスでボランティアした時間をポイントとして積み立てる制度に加入しています。積み立てたポイントは、例えば「和歌山県にある先祖のお墓にお参りして欲しい」と希望した時に使用できるのです。和歌山県の人がこの仕組みに参加していることが条件ですが、そのポイント分に相当する時間をボランティアとしてお墓参りをするのです。ボランティアをした和歌山県の会員さんが、新たにポイントを受け取ることになり、そのポイントで、今度は自分がサービス提供を受けられるのです。

尤も「積み立てたポイントを使うことは良いことですが、理想はポイントを残してこの世を旅立つことです。前会長はそうしました。和歌山県の皆さんにこのしくみに参画して欲しいと思っています」と語ってくれました。ボランティアは自分のためにするのではなくて、人のために尽くすことを実践した前会長さんだったと思いました。

上原さんとの3時間は今日の宝物になりました。明日から東京、大阪で友人達に会ってきてから和歌山市に戻り、10月21日に帰国する予定だと聞きました。再び宝物を受け取りたいと思います。