和歌山県では台風が通過して、夏の日差しが戻りました。厳しい暑さで「暑い、暑い」と言っていましたが、台風が到来したことと比較すると夏は暑い方が良いと思います。
薬師寺の大谷徹奘師が言っていたことです。
「講義を聴いた後に外に出た時『暑い、暑い』って不満を言ってはいけないよ。こうして講義を聴きに来れたことに感謝しなきゃ。来たくても来れない人がいるのだから。病気にかかったり、来る途中に交通事故に遭遇しなかっただけでも幸せですよ。世界では紛争が起きている中、平和な世の中で毎日の生活ができて、食事もとれて、薬師寺まで話を聞くことができるんだから、幸せですよ。
だから外に出た時に『暑い、暑い』と不満を言ってはいけないよ。不満を感じると幸せをなくしてしまうから。暑くても今日の日に感謝しなきゃ」と話がありました。
折角、貴重な講義を聴いたとしても、講義を終えて外に出た瞬間に「暑い、暑い」というのは、講義で学んだ有り難さを受け取っていないことだと思います。
和歌山県では昨日、台風が到来しましたが、それと比較すると、今日の暑さは夏が戻ったように感じて「有り難い」と思うばかりです。
明日から暑さが続くことになりますが、不満を言わないように氣をつけたいと思います。
中野信子さんの著書『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』から一部を紹介してくれました。日本人らしい交渉術のことです。参考になるものなので一部抜粋させていただき、以下に紹介します。
日本の某大手電気メーカーで役員をされていたKさんという人物がいます。世界に冠たる日本の科学技術を、Kさんは地道に発展させてきたのです。Kさんこそまさに20世紀の「技術大国・日本」を牽引してきた功労者といえるでしょう。
Kさんは技術畑での仕事をはじめ、アメリカやヨーロッパでの営業、現地法人の立ち上げなどの任務、そして最終的には本社の重要な役職までこなされました。現在は第一線を退かれ、有望な若手実業家を育てるという立場にいらっしゃいます。
こんなKさんですから、経歴だけ見ると、何だかものすごいものがあります。最初に会うときはとても緊張してしまいました。「もしかしたら、怖い人なのかな……」と。
でも、実際にお会いしてみると本当に物腰が柔らかで、いつも笑顔の素敵な紳士なのです。
何より、若い人と話をして、いろいろな知識を吸収するのを楽しむというように、好奇心にあふれているのです。機知に富んだ会話で年齢を感じさせず、一緒にいるとこっちまで楽しくなりました。
実は、Kさんはとても物腰が柔らかで、いつも笑顔を絶やさない一方で、主張を絶対に曲げることがなかったのです。
Kさんは、相手の話をよく聞く人であるのはもちろんなのですが、ずっとお話ししていると、いつの間にかKさんのペースに巻き込まれていくのです。そうすると、話をしているうちにKさんの考え方や方針が、何となく正しい気分になってしまうわけです。
「議論を戦わせて、相手のミスを突き、自分の考えを通す」という方法が有効だと考える人も多いかもしれません。特に、欧米で仕事をしていたら、なおさらです。
相手を言い負かしたそのときだけは、優越感に浸れます。でも、その相手と持続的に良い関係を築いていくことは難しくなってしまうのです。それは、ビジネスのあり方としては、あまり効率の良い方法ではないですよね。
Kさんのように、いかにも日本人らしく、周囲を気遣うといった「和」を重んじながらも、譲らない。あわよくば、相手を巻き込んでしまう。こんな方法であれば、相手のプライドを傷つけることはなく、自分のやりたいことも良い形で貫けるのです。
また、相手を尊重しているという姿勢は崩さないので、友好的な関係を長く保ち続けることができ、互いにメリットが大きいのです。実にしたたかで賢いやり方ではないでしょうか。
以上の主張です。相手と対決することが苦手な日本人が見習うべき交渉術です。