活動報告・レポート
2023年8月15日(火)
終戦記念日

先の大戦の終戦から78年目の夏を迎えました。戦後60年、戦後70年と記憶にありますが、もう78回目の夏を迎えることになりました。わが国にとって夏の特別な一日は平和を心に刻める日なのです。日常において、平和の日々は当たり前のように感じていますが、今から78年以前の日本は、平和の言葉がなかったように思います。大戦の記憶を語れる人は少なくなっていますが、私達は体験談を聞いて語り継ぐ責任があると思います。

今朝の朝日新聞の天声人語から一部抜粋します。

作家の那須正幹さんは言う。「自分で語る時、その人は体験者と一体化する。二度と戦争を起こしてはいけないという気持ちになるはずです」。「大切なのは、誰から聞いた短い話でいいから自分の口で語ることです」。
出典:朝日新聞 令和5年8月15日

素晴らしい記事です。体験していなくても、体験者の話を聴くことは、その人の歴史、地域の歴史、そして国の歴史の一部を引き継ぐためにとても大事なことです。

戦争を体験していないとしても、体験者の人の話を聴くことで、自分のことのように、そして国を護ることを意識するのです。聴かなければ知らないことはいくらでもあります。語らなければ忘れてしまうことはたくさんあります。体験者の話を聴いただけで語らなければ、その体験は引き継がれていきません。

誰かの体験を語る人がいるから歴史は生きているのです。そんな意味で開催した令和4年の「うたかたコンサート」が今年、二回目を迎えることになりました。

「うたかたコンサート」とは「歌と語りのコンサート」の意味で「和歌山市内で空襲体験をした方の話を語ってもらい、みんなで聴きましょう」というコンサートです。

昨年、初めてこの企画をした岡本さんは、その時「このコンサートでは空襲体験をした皆さんの体験談を聴いて欲しいと思って企画しました。テーマが地味なので集まってくれるかな、聴いてもらえるかなと思っていたのですが、体験者から語ってもらって、聞いてくれて良かったと思います。来年も継続できたらと思います」と話してくれたことを思い出しました。

僕も昨年の「うたかたコンサート」に参加したのですが、空襲を体験した方々の語りは心に響きました。空襲体験をした皆さんは「古い時代の出来事になってしまった自分達の話を聴いてくれるのだろうか」と心配したそうですが、空襲を体験していない参加者の心にと届けられました。

一人ひとりの体験話は短い時間でしたが、心まで届けられた話は誰から語るには十分な話の内容となりました。僕もその一人で、このときに聴いた話を会合の場などで伝えていますし「翌年も継続させたい企画だなぁ」と思った一人でした。

岡本さんたちが事務所を訪ねてくれたのは今年の春でした。「今年も『うたかたコンサート』を開催したいと思っていますが、実現できるでしょうか」と問い合わせがあったのです。

事務所には5名の皆さんが来てくれ、それぞれの空襲体験の話を語ってくれました。皆さんからの話を聴いて「今年もやりましょう」という話になりました。

第二回目は「うたかたコンサート〜平和へのバトンを未来に繋ぐ〜」です。現在、演奏曲と語ってくれる皆さんとの打ち合わせを実施しているところだと聞いていますが、昨年語ってくれたメンバーと異なる体験者の話を聴くことができそうです。

その一人の上原ハツさんとは、その後に数回お会いしています。空襲体験とアメリカに渡った弟たちが和歌山県との懸け橋になった話を聴かせてもらいました。

「この話は歴史に埋もれさせることなく、聞いた人が語り継がなければならない」と思っています。歴史を消すのは簡単ですが、残すことは難しいことです。残す方法は体験者の話を聴いた人が世代を超えて語り継ぐことにあります。

第二回目の「うたかたコンサート」に期待しています。