活動報告・レポート
2023年6月14日(水)
大いなる幻影〜陸奥宗光とは誰か〜
大いなる幻影〜陸奥宗光とは誰か〜

辻原登氏による「大いなる幻影〜陸奥宗光とは誰か〜」の講演会に参加しました。この講演会は、令和5年4月1日から日経新聞に連載している「陥穽 陸奥宗光の青春」を元にした講演で、和歌山県の偉人である陸奥宗光伯の知られざる姿を、作家としての視点と調査した結果に基づいて話してくれました。

不平等条約改正に至る物語は多くの歴史家が語っているので、氏はこれまで語られていなかったエピソードを中心に説明してくれたので興味が尽きない内容でした。

以下は講演を聞いての感想を自分の言葉で表現したものです。講演者の伝えたい趣旨と異なることもありますので、個人の感想、解釈であることを承知おきして読んでください。

1.西園寺公望は陸奥宗光伯の勉強の量と質にして「畏るべし」と語ったと言われています。これは陸奥宗光伯がイギリスで滞在していたときの記録から述べた言葉です。現在神奈川県立博物館金沢文庫で所蔵されているイギリス滞在中に書き記したノートには、英語でびっしりと文字が残されているようです。そのノートに書かれている英語が美しくて品があるそうです。名作家をして「芸術品のような美しいノート」と感想を持たせるほど、文字に言葉に品格があるノートだと思います。

2.ヒストリーとは「彼の物語」のから来ている言葉です。この「彼」とは「He」のことで、国家や偉人のことを指しています。例えばナポレオンの物語、日本の物語など、物語になるような英雄たちの物語、国家の物語をヒストリーと言うそうです。
歴史とは解釈のことなので、事実を繋げただけで歴史にはならないのです。このように歴史とは事実だけで成り立っているものではなく、事実と事実を繋ぎ合わせたものがヒストリーとなります。つまり歴史を語る人は事実の中に、自分の思いを組み込んでいかなければ歴史にならないのです。
事実は袋のようなものであり、何かを袋の中に入れなければ立っていられないのです。袋に入れるものは精神であり、判断であり、道徳であり、それらが合い交わって初めて歴史になるのです。
歴史的事実である年号と出来事を伝えるだけでは、歴史を語ることにはならないのです。

3.事実とは広大な海の中を泳いでいる魚のようなものです。釣り人は、魚を見つけるために自分の好きなポイントを選び好きな魚を狙います。物語を語る人、物語を作る人も同じように、探している事実や資料から好きなポイントを選んでいるようなものです。

4.外交の進め方は二通りです。
破綻外交と調和外交です。破綻外交とは戦争を選ぶこと。調和外交とは同盟関係になることです。外交はこの二つのやり方を選択、または両立させる必要があるので国の平和を護ることは難しいことなのです。
世界はインターネットでつながっているのに、今なお、戦争が起きているのは不思議なことなのです。足元の現実や限界を見つめる必要があります。インターネットでつながっていることは本当につながって理解し合える関係ではない現実を示しています。

5.日経新聞で連載している小説のタイトルである「陥穽」とは、自分の力ではどうにもならない神の力によって生かされていること。人生には必ず落とし穴がありますが、そこから立ち上がっていくことが大事なことだと伝えるメッセージ性を持たせたタイトルです。

以上です。

最後にもうひとつ、辻原登氏の講演からの学びを記します。

私達は過去の作家が予想した未来で暮らしています。「ブレードランナー」で描かれているのは40年後の世界ですし、「2001年宇宙の旅」で描かれた世界も40年後の世界です。

つまり私達は優れたSF小説で描かれた未来を生きているのです。だからこれからを生きる私達は歴史を学ぶ必要があるのです。

つまり私達は、今につながる過去からの人類の思考が現実になった未来を生きているのです。私達は過去に学び、未来を生きるのです。それが生きていることであり、未来を拓いていくことになります。

その他
  • 和歌山市内にある公園の現場を確認しながら、少子高齢社会における公園のあり方の協議を行いました。
  • 和歌山中央ゴールドライオンズクラブの模擬例会に出席しました。次年度の幹事として例会に挑みました。