元プロ野球チームの二軍監督で、現在は独立リーグの監督をしている方と懇談する機会をいただきました。長くプロ野球の世界で生きてきて、なお現在も独立リーグで若い選手を指導してプロ野球に送り出している監督のプロの言葉を聞かせてもらいました。野球ファンにとっても、政治に携わっている人にとっても、そして組織をマネジメントする立場の人にとっても学びになる話でした。
1.打者であれば、自分の得意なコースや球種は絶対に仕留める技術が必要です。それがあるとプロで生きていけますが、得意なボールを確実に打てなければ生き残れません。プロの打者であっても、プロの投手の全球種を打つことは不可能です。得意なボールはミスショットすることなく、全球を仕留める技術が求められます。
逆に言うなら、不得意なコースにボールが来たときは振らずに待てるセンスが必要なのです。どんなコースでも打ちにいくような打者はプロでは生きていけません。
プロとアマとの違いはここにあります。プロは得意なコースだけを待つ、アマはどんなボールでも打ちにいく。この小さな考え方の違いが大きな差になっているのです。
プロ野球でどのコースでもバットコントロールできたのはイチロー選手ぐらいです。
2.プロ野球で求められる才能は真面目でコツコツする選手です。技術は教えられますが、性格や素行は直せません。素行の悪い選手は一軍にいけることはありませんし、入団後も直ぐに解雇される選手は素行の問題があります。
球団にとって、技術が劣っていたとしても、将来、一軍に上がれないとしても、真面目でコツコツする選手は絶対に必要だそうです。才能のある選手であってもプロの環境で伸びていくためには真面目さが必要だからです。プロに入団する選手ならば、全て選ばれたエリートなので、練習において真面目にコツコツしなくてもできてしまうので、練習で手抜きをしてしまうことがあります。
そんな選手の見本になるのが真面目にコツコツするタイプの選手です。将来一軍で活躍する選手でも、手を抜かずに練習をすることを覚えなければならないのです。それができない選手は一軍で活躍することなく消えてしまうようです。
3.素行不良な選手は必要ありません。間違ってドラフト指名しても、素行不良であればチームに必要ありません。一人の素行不良の選手がいるとチームの雰囲気が悪くなりますし、悪影響を与えます。そして素行不良は直りませんから、何度でも同じことを繰り返します。それはプロで生きていけない資質なのです。
4.プロ意識を持つこと。アマとプロとではプロ意識が違います。プロを目指す選手にはプロ意識を伝えていますが、高校、大学とプロを目指して野球をやってきた選手には響きません。これまでやってきた練習、意識で良いと思っているからです。でもプロにはプロ意識がありますから、その意識を持たないことにはプロに進むことはできません。
独立リーグはプロ野球を目指す選手の集まりなので、指導者はプロ意識を伝えようとしています。でも指導者が話して意識が変わる選手は、とても稀なのです。
5.プロ野球のチームは5年周期で強くなったり、弱くなったりします。チーム編成は5年後を見据えて行うので、今強いチームは5年前からチーム作りに着手しているのです。
弱いチームは若手を思い切って使って結果を出せる環境をつくっています。ベテランから若手に切り替えていくので強いチームになっていくのです。逆に強いチームは若手に切り替える時期は中々来ません。プロの選手のピークは27歳から32歳ぐらいなので、32歳のスター選手は35歳になっても、37歳になってもレギュラーで試合に出ることになります。35歳を超えると必ず衰えますから、チームの若返りが遅れると、チーム力も落ちていきます。その若手への切り替えとベテランの見極めによって強いチームは入れ替わるのです。
オリックスは5年前に、5年後の優勝を見据えてチーム編成に着手してきました。フロントが選手を取り、監督とチーム編成を検討して獲得した選手を起用し育成してきたのです。
フロントと現場が意思疎通を図った結果が強いチームづくりにつながったのです。球団社長、フロント、監督が意思疎通を図れるチームは強くなります。
主な話は以上ですが、社会や組織で生かせるマネジメントに関して、監督から多くの学びをいただきました。
ライオンズクラブガバナー諮問委員会が開催され出席しました。これまでの活動報告と新年度に向けた課題と取り組みなどの説明を聞かせてもらいました。
その挨拶の中の一つに「和歌山市や海南市などが大雨で被害を受けたので、多くのライオンズの仲間が県外からボランティアで来てくれています。地元の私達は、せめて現場でお迎えして、温かく迎えると共にお礼の言葉を伝えて欲しいと思います」という趣旨の挨拶がありました。素晴らしい気持ちが込められていると感じました。