首都圏や中部圏では屋上ビジネスが流行していると聞きました。活用していないビルの屋上をリニューアルしてグループや団体に貸し出すビジネスのようです。オフィスビルの場合、入居者以外の第三者に屋上を使用させることはしていません。そのため活用されないスペースになっているので「都会の立地条件の良い場所なのに、デッドスペースにしておくのはもったいない」という発想から、入居者以外にも使ってもらおうということです。
そのため屋上をリフォームして、自由に活用できるスペースへと生まれ変わらせています。グループでのバーベキューやレクリエーションとして、屋上から景色を眺めながらのケータリングの食事を楽しむことなど活用方法は様々です。
和歌山市内のビルの屋上も活用がなされていないスペースがあるようなので、屋上の活用を考えている人と会いました。「今のところ、和歌山市内で屋上の活用を考えている人はいないです」ということです。
殺風景な屋上スペースをリフォームし、イメージを一新することで、使える空間にするのです。地上やフロア階からとは異なる景色を見ることで、ビジネスの発想や人とのコミュニケーションを図ることにつながります。
この方に聞いたところ「イギリスではビジネスの交渉する場所として屋外が利用されることがあります。屋内で交渉するよりもコミュニケーションが図れるので、話がまとまりやすいようです」と話してくれました。
ウォーキングをしながら、または公園などで交渉する体験をしたことがありますが、確かに堅苦しくなくて新鮮さを感じました。
また高いビルの屋上から見る景色は普段と視点が違うので、見慣れているはずのまちの景色は一変します。視点が異なれば違った発想につながると思います。
ビルのオーナーや管理者にとっても屋上の活用は有り難いと話してくれました。それは屋上をグループに貸し出すので、店内のようにお世話やサービスの提供をする必要はなく、入場料と最小単位の食事の注文をいただくだけでよいからです。後は自分達で食事を楽しむだけなので、サービスを提供する必要はないということです。
食事や飲み物の追加は自由に設定しておくことでサービス提供は不要となるので、場所を貸し出すだけで収益になるということです。これから地方都市でも使われていない屋上の活用が始まるかもしれません。
和歌山市内でも従来からの視点を変えた屋上ビジネスが生まれそうです。どのような成果になるのか楽しみに待っています。
「今から30年前に完成した集会所の誕生の経緯を知っている人は少なくなりました」と話してくれました。集会所の誕生のきっかけづくりと設計、そして建設に携わったTさんは、地元の集会所が竣工して以降の30年間、建物管理をしてきました。
「この地元で活用している集会所は県や市からの補助金で建てたものではなく、地元自治会で建設したものです。この経緯を知ることで、この集会所に愛着が持てると思いますし、次の世代にも大事に引き継ごうと思ってくれるはずです。だから竣工から30年が経過した今年、竣工30周年記念式典を開催したいと考えています」と話してくれました。
どんな建物にも関わった人たちの物語があります。この集会所も当時、「地元自治会に集会所が必要だ」と思った自治会役員の方々が自治会費や寄付金を募り、建設に不足した資金は役員が保証人となり金融機関から借り受けるなど、活動と苦労の結果、着工することができたものです。
現在、この集会所を使っている人達は誕生した経緯を知らないようなので「地元に集会所がある有り難さ」を実感できないのです。だから建設の物語を地元の皆さんに知ってもらうためにも「記念式典を行いたい」と計画しているのです。
建設に関わった一人として物語を語り、皆さんに知ってもらうことで次の時代でも活用してもらいたいと願う親心のようです。今から、この物語を聞くことができる記念式典を楽しみにしています。