つつじが丘にある高齢者のご家庭を訪ねました。この方は令和3年の誕生日に75歳を迎えたので運転免許証を返納したのです。高齢者の事故が起きていることや、県のアドバイスで「運転は危険だからと言われた」ことから返納する気持ちになったのです。
当初、運転できなくても生活に不便はないと思っていたのですが、実際に車がないと「生活に支障がでる」と直ぐに思ったのです。
バスを利用し買い物に行った時のことです。買い物に出掛ける時はバスの時刻が分かるので、その時刻に合わせてバス停に行くので不便さはないのですが、問題は帰り道だそうです。道路事情によってバスの到着時刻が前後にずれることがあるため、到着時刻よりも早い時間にバス停に行く必要があります。もしバスに乗り遅れると1時間に一本なので、1時間は待つことになるそうです。
しかし、それよりも問題があります。それは買い物をした帰り道なので、たくさんのバッグを抱えていることです。バス停に荷物置き場はありませんから、持ったままの状態でバス停に留まることになります。両手に荷物を持って、最長1時間近くもバスを待つことの辛さがあるのです。
そして夏と冬にバスを待つ時間の問題です。夏は暑くてしんどくてたまらないし、冬は寒くて待っていられない状態になります。また雨の日は荷物を持ちながら傘をさしてバス停で待つことになります。「これはとても辛い」状況です。
「高齢者に運転免許証を返納するように指導するなら、公共交通機関、特にバスの運行を考えて欲しい」という要望をいただきました。
1.バスの運行本数を多くして欲しいこと。中心市街地は問題が少ないと思いますが、周辺部に行くとバスの運行本数が少ないので、忽ち生活が不便になります。
2.バス停は、夏は暑く冬は寒い、雨の日は荷物を持って待っていられないのです。そこで県庁付近にあるような、バス停に屋根と風よけがあるような囲いのあるバス停に変更して欲しいと思います。
高齢者に運転免許証の返納を求めるのであれば、バスの利便性とバス停の改善をして欲しいという要望です。これは尤もな要望であり切実な要望だと思います。
「特に出掛けるときはまだ良いのですが、買い物をした帰り道に荷物が増えて大変なのです」ということです。免許証のない高齢者の視点で公共交通を考えると、改善すべきことがあることが分かります。
和歌山市の場合は、民間の和歌山バスが運行しているので、利用者数と採算性を考えると、この方が求めるようなバスの運行本数の増便と、バス停の改善に向けた投資は難しいと思われます。地方都市におけるバス利便性向上は、高齢社会と健康的な暮らしを維持する観点から、国からの補助金があるように思います。
高齢者が運転免許証を返納し外出機会が減少すれば、健康寿命にも影響があると思われますし、外出の機会が減ることで人との交流機会も会話も減ることになり、老化が進む原因になるように思います。
できるだけ人と会うこと、話をすること、外出機会を持つことが健康でいられ、高齢時代の生活を充実させることになるので、バスの利便性向上は喫緊の課題だと考えます。
県行政として考えるべき課題なので、これからの県議会で取り上げていく予定です。
要望者は「予算と投資の問題であり、和歌山市全体のバス運行のあり方を考えることになるので、時間を要することは理解しているのでお願いします」という話です。
これはつつじが丘だけの課題ではなくて、これまで同様の話を聞いた吉礼や山東地域でも同じような課題があります。一部の地域の課題ではないことから、県行政として考えるべき課題だと捉え、これからの県議会で取り上げていく予定です。