活動報告・レポート
2023年1月22日(日)
議員の原点
議員の原点

僕が初当選したときの教育長を訪ねて、懇談時間をいただきました。当時の懸案事項への対応について思い出話を語り合いました。

和歌山市議会議員に初当選したときの大きな課題が「公立の大新幼稚園、西山東幼稚園の廃園問題」でした。当時、和歌山市は行政改革を断行している中で、二つの幼稚園が廃園することを議会提案されていたのです。丁度、その時期が市議会議員の改選期であり、当選したばかりの新人議員に廃園問題が課題として突き付けられました。

園児の保護者からは「廃園は中止して欲しい」と強い要望と議会への請願がありましたが、市教育委員会は「もう決定している」と一歩も譲らない姿勢で、市議会一般質問での質疑、保護者との討論会など、連日、この問題に向き合いました。

僕も登壇して廃園問題の一般質問をしたことを今も覚えています。新人議員は廃園に賛成するベテラン議員と対立した動きをしたのですが、元教育長は「ベテラン議員と新人議員があれだけ意見を戦わせたのは初めてだと思います」と話してくれたように、市の提案に対して賛否の考え方が対立していたのです。

ベテラン議員は「行政改革の観点から廃園は仕方ないこと」との考えでしたが、新人議員である私達は「保護者の声を行政に反映させることが議員の役割」だと主張して、廃園反対の考えでした。

新人議員は何度も教育委員会や教育長と議論を交わし、幼稚園で保護者との話し合いを何度も行いました。強硬な姿勢の教育委員会に対して保護者の立場から意見を述べました。

当時、本会議一般質問で教育長と質疑を交わしたのですが、今日「片桐さんには感謝しているのです。あの時、本会議で私の答弁で誤りがありました。答弁誤りは議事進行の対象となるべきものでしたが、質疑の流れを止めてはいけないとの配慮から、その答弁を通してくれました。一般質問終了後に会派にお詫びに行ったところ『教育長、いいですよ』と許してくれたのです。心の大きな人だと思いました。今も忘れていませんし、生涯、このときの質疑は忘れることはありません」と話してくれました。

今から20年ほど前の話ですが、今も覚えてくれていることに感謝し「生涯忘れることはありません」と話してくれたことに感動しました。

そして

片桐さんのような正義感のある議員は和歌山県には絶対に必要で、議会にいてくれないと困ります。議会では黒でも白や灰色になることがありますが、そんなときのために良識を以て判断してくれる議員が必要です。市民の声を聞いてくれる議員、その立場で当局と議論してくれる議員。そんな議員が必要なのです。私も多くの議員さんと接してきましたが、行動力があり市民の立場で議論が出来る議員さんは少ないと思っています。

和歌山市にとって初めての市民運動だったのが、あの時の廃園問題だったと思います。市民運動が起きたときの新人議員の行動は凄い力があって圧倒されました。

私は、片桐さんは当初からその姿勢で活動してくれていることを知っていますから、頑張って欲しいと思います。

と話してくれました。

元教育長とは意見を戦わせた間柄ですが、今では懐かしい戦友のような関係だと思っています。共に競い合って成長できた間柄で、あの経験が議員活動の原点となっていると思っています。振り返ると無茶もしましたし、教育委員会と激しく意見が対立したので、新人議員として経験がなかったので悩むこともありましたが、今となっては得難い経験ができたと思っています。

そして元教育長とあの頃の話を交わせることを嬉しく思います。令和の時代になり、この問題を覚えている人は少ないと思います。しかし和歌山市政の歴史に刻まれていますし、あの時交わした質疑や請願は今も公式記録として残っています。歴史は消えることなく刻まれている。その意思決定の過程の一員であったことが原点であり、新人議員の活動としては「よくやった」と誇りに思っています。

懐かしい市議会議員の時に戻った元教育長との時間でした。「私も来月で79歳になります。あのとき若い議員が台頭してきてくれたこと、そして現在も元気に活躍してくれていることを嬉しく思っていますし、精神的にも厳しかった廃園問題ですが、私の生涯の思い出です」と話してくれたことを嬉しく思います。

元教育長と良い時間を過ごすことが出来ました。原点を思い出させてくれたことに心から感謝しています。