県立和歌山北高校を訪問しました。和歌山市内にある同校はスポーツが盛んな学校で、これまで数多くのオリンピック選手を輩出しています。校長先生の話によると「公立高校でこれだけ多くのオリンピアンを輩出している高校は少ないと思います」と話してくれたほどです。
また国体選手やインターハイで全国大会に出場している生徒は県内有数で、グラウンドからはスポーツ部の大きな声が聞こえてきました。学校事務所棟の玄関には、オリンピック選手の名前が刻まれたレリーフがありましたが、同校のクラブ活動で汗を流して世界に羽ばたいた選手たちの誇りと歴史の重みを感じられました。多くの卒業生が伝統を築いてきたことに敬意を表する次第です。
岩手県花巻市にある花巻東高校を訪ねた和歌山市在住の方から、花巻東高校野球部を見学したときの話を聞かせてもらいました。
まず「野球部員の姿勢に感動しました」と話していたのです。この方は同校を訪ねてグラウンドに行き、バックネット裏で野球部の練習を見学していました。
トイレに行きたくなったのでグラウンド近くのトイレに行こうとしたところ、野球部員が来てくれて「こちらです」とトイレに案内してくれたうえに、トイレのドアを開けてくれたのです。
さらに驚いたのはトイレから出たとき、靴を履きやすいように向きを変えて揃えてくれていたのです。「練習中なのに機転を利かせてトイレに案内してくれたこと。ドアを開けてくれたこと。靴を揃えてくれていたことなど野球部員の姿勢に感動しました。本当に凄いことだと思います」と話してくれたのです。
さらにグラウンドに戻ると同校のコーチが現れたのです。野球部員が練習を止めて「こんにちは」と全員が帽子を取って挨拶をしたようです。この光景を見て「選手たちは凄く礼儀正しい。大谷翔平選手もこの環境で育ったから世界に通用する選手であり、成長したのかな」と思ったそうです。
さらにグラウンドをよく見るとダイヤモンドの外では野球部員が草むしりやゴミを拾っている姿を確認できたのです。
「ダイヤモンドで練習している最中でも、他の部員はグラウンドの外では部員が掃除をしているのです。これにも驚きました」という話でした。
繰り返しになります。卒業生の大谷翔平選手は余りにも有名ですが、プロ野球選手としての能力と共に、人に対する思いやりと優しさは高校時代に養われたように感じました。その精神は現在の部員にも受け継がれているようです。
そして高校内に大谷翔平選手と菊池雄星選手のユニフォームが飾られているのは、野球部員の目標になるものだからです。身近なところに目指すべき人がいることは、後に続く人達がそこに到達するための動機付けになるものです。
この野球部の話を聞いて、選手が礼儀正しいことや集団生活の規律を守ることなど、人間力を形成している高校だと思いました。人間力形成、つまり勉強だけではなく社会で通用する人間力を身につける教育を実施している同校を応援したくなりました。強いクラブには理由があるものです。
花巻東高校を訪れた方から「花巻東高校の近くに行ったので立ち寄ったのですが、思い切ってグラウンドに入り野球部の見学をして良かったと思います」と話してくれました。
野球部の練習の域を超えた感動する話を聞かせてもらったことに感謝しています。この話を聞かせてもらって、同校には強さの他にも第二、第三の大谷選手が生まれる土壌がある高校だと感じました。