「きのくに舞台芸術祭2022」に出演したmiyaさんのステージを鑑賞しました。昨年の「紀の国わかやま文化祭2021」以来のステージですが、その空白を感じさせない魂の歌を聴かせてくれました。もちろん、ステージは一年振りですが、体調と相談しながらレッスンを続けてきたと思います。
今回のテーマは「愛と私と人生と」で、見事にこのテーマが心に届きました。オープニングはさだまさしさんの「Birthday」をmiyaさん風に爽やかに歌い上げてくれたので、いきなり心にギフトが届きました。
「今日を生きていることが幸せであり、今願って届くようなものはないから無理なことを思っても意味がないよ」と語りかけてくれたようです。
何気ないことがかけがえのないことだと悟らせてくれます。「こんな私のために、こんなにたくさんのあなたの時間をくれたのですね」。時間は有限で限りがあり、戻ることのできない宝物です。誰かが私のために、そんな宝物を与えてくれていることに気がつくと、毎日がどれだけ幸せなのかが分かります。人に何かを頼むことは、その人の時間をもらっていることになります。その人は私に宝物を与え続けてくれているのです。
毎日の起きている当たり前で簡単な日常がかけがえのない日々であることを気づかせてくれるのはmiyaさんだからです。
今日のチラシにも記されていますが、miyaさんは2017年に多発性骨髄腫に罹患して、それ以降ずっと闘病生活を続けています。本人ではないので分かりませんが、辛い日が訪れ、絶望の淵に立たされた日々もあったと思います。生きることの意味、希望はどこにあるのかなど悩み続けた日々を乗り越えて、再びステージに立って歌い始めたのです。
今も辛い時間を抱えていると思いますが、それでも歌う喜び、歌を通じてメッセージを届けられる幸せ、歌や会話がどれだけ希望になり、明日に向かう勇気を与えてくれているのかmiyaさんは分かっていると思います。そんな人生で抱えたものを歌とステージに込めているのだと思うのです。今日、ステージから僕の心に届けられたメッセージは、それ以外に説明のしようはありません。
時々、僕が言っていることですが、同じ内容の話をしても、同じ原稿を読んだとしても、伝える人の思いの強さ、言葉の力、そして人生の背景にあるものによって、伝わり方は全く違います。人の心に届く言葉もあれば、人の心を動かす言葉もあります。逆に全く響かない言葉もありますし、聞き流される言葉もあります。それは伝える人の言葉に込められた思いの強さによる違いだと思います。
議員の場合、その政策に思い入れを持って強く関わっている場合は強い言葉になりますが、関係していない場合、言葉に力は宿りません。同じことを伝えたとしても違いはでてくるのは「やっているか、やっていないか」、「熱意を持っているかどうか」です。
歌も同じだと思います。同じ歌詞を同じメロディで歌ったとしても、聴く人に届ける力に差があるのです。
miyaさんの歌声が心に届くのは、突然襲ってきた過酷な運命を人生に背負って、「決して諦めないぞ」「負けてたまるか」の魂を込めて歌っているからだと思います。
只でさえ、人にやさしくて励ましてくれるさだまさしさんの歌ですが、miyaさんが歌うと歌に込められている全てのメッセージを届けてくれるように思うのです。
「愛と私と人生と」。1時間弱のステージにそのメッセージが全て込められていました。思いが詰まり気持ちが張っていたステージです。明日以降は、さらに身体にお気をつけてくれることを心から願っています。