東京医療保健大学の学園祭にお邪魔して献血のお手伝いを行いました。毎年、この時期に訪れているもので、僕も53回目の献血を行いました。学生さんは事前に献血の申し込みをしてくれていたので、それぞれが予定時間に来てくれたので、それほど待つことなく献血ができました。
看護師さんに話を聞いたところ「今、血液が不足しています」ということでした。理由を尋ねたら「秋に台風が到来したことから献血車が出動できなかったため必要な量の血液を確保できなかった」ということです。台風や異常気象にも影響を受けていることを知りました。社会は日常生活の中で巡回しているので、少しでも歯車がずれると社会のどこかで困ったことが起きているのです。
学生さんの中には初めて献血をする人もいましたが、その善意を通じて一人ひとりが社会を支えていることに気づいてくれると良いと思います。余りにも出過ぎて名乗るのは格好の良いことではありませんが、知らないところで社会や誰かの役に立っていることは自分にとって誇らしいことです。
自ら体験しながら社会を学べる機会となった学生たちとの献血活動は有意義だったと感じています。
衛星携帯や自動運転などに必要となる人工衛星が世界で、そして民間企業から打ち上げられています。ロケットに注目が集まっていますが、そこで必ず必要となるものが小型衛星用地上局です。それはパラボラアンテナと受信装置で構成されていますが、パラボラアンテナが和歌山県内で作られようとしています。しかも日本で例のない人工衛星を追従できる性能を持ったアンテナなのです。現在、日本のメーカーが製作しているのは固定式のパラボラアンテナで、地球を回っている人工衛星の軌道を追えないと説明を受けました。
必要な技術は高速で動いている人工衛星を追うため、パラボラアンテナがスムーズに回転することです。意外ですが追従式のパラボラアンテナを作る技術は「日本にはなかった」と話を伺いました。
そんなパラボラアンテナを生み出したのが和歌山県内の企業なので、会議では「和歌山県版下町ロケット計画ですね」と話しました。宇宙に夢を描く技術であり、地元で開発していることに驚きました。
現在、和歌山県では民間ロケットの発射時期が注目を集めていますが、人工衛星からのデータを受信することがソフト部分で大事なところであり、そこが完成して宇宙産業につながるのです。ロケット製造と発射基地がハードであれば、地上局に設置する受信装置はソフトだといえます。ソフトが完備して初めてロケット発射と人工衛星打ち上げが継続的なビジネスになるのです。
今後は和歌山県内でロケットビジネス全体の流れを完成させることが必要な取り組みだと考えています。人工衛星製造拠点、パラボラアンテナと受信装置の製造、港湾の整備、基地局の設置、そして宇宙教育を実施する専門的な教育過程の設置です。ロケット発射だけでは持続的な産業にならないので、この全てを揃えなければ和歌山県での宇宙関連産業は未完成に終わります。
本日の会議では受信装置技術者、プログラマーの皆さんと一緒に「和歌山県での宇宙産業を確立する」ことの協議を行いました。和歌山県には受信装置製造に必要な技術が揃っているので、後の問題は行政の支援と国や大学との連携、そして開発のための資金調達となります。
現時点では実際のところ、和歌山県内で宇宙産業や宇宙教育と言ってもピンと来ている人は少ないと感じています。ロケット発射がすべてだと思っている人が多いので、宇宙産業の全体像を伝える必要があると感じています。
和歌山県内でパラボラアンテナや受信装置の開発が進んでいることや、基地局の設置を進めようとしている技術者と会社があることから、宇宙関連産業の話をすることができることを嬉しく思います。