和歌山県の観光で「欠けているのでは」と指摘をいただきました。それは「観光地への県外からの誘客は実施していますが、それと比較して県内の方を誘う施策は弱いように思います」というものです。
県民としては「和歌山県のことは十分知っている」「今さら、お金を使って県内への宿泊旅行は考えていない」というところでしょうか。県民の方々への宿泊観光の動機づけが必要です。
例えば「和歌山県の歴史を知ろう」「故郷の偉人の足跡を訪ねよう」「和歌山県の食を楽しみましょう」など、観光客と同じように県民の方々も楽しめる企画があれば良いのです。
しかしこれは誘客よりも難しいことかも知れません。それは和歌山県のことを知っているか、知っていると思っているので、その概念を打ち破る企画が必要となるからです。
例えば、県民であれば世界遺産の熊野古道のことを知っていますし、今さら訪れようとは思わないこともあります。つまり県民の皆さんに行ってもらうには、強い動機づけが必要なのです。
宿泊で訪れてもらうためには、熊野古道は自然信仰の道であることの学習を組み込んで企画にすること、地元の食を味わえる旅にすること、熊野で知らない場所を訪れることや、知られていない物語を語ってもらうことなどの企画が必要になるのです。
観光客だと初めて訪れる人も多いため、深い部分までの案内は「特別に興味を持っている人」に限定すれば良いのですが、県民の方々を対象にする場合、知らないことを発見する楽しみや、物語として人に話せるような楽しさを与えることが求められます。史実に基づいて地元ならではの物語として楽しく語ることが「行って良かった」と思える動機づけになります。
県民の皆さんに県内観光に行ってもらうことは簡単ではありませんが、歴史と文化、そして偉人を訪ねる旅の企画、そこに食の楽しみやスタンプラリーなど参加する楽しみを組み込んだ企画が必要だと思います。
県外からの観光客の誘客と共に、県民旅を増やすことで観光が安定した産業になっていきます。「和歌山県行政の観光の企画は、県民が参加したいと思うものは少ないように感じます」という指摘に対して考えたことです。県外の方からの視点を大事にして企画を考えると新たな発想のものが生まれそうです。
先週、「片桐さんが稚内市を訪れていることを記事で読みました。その理由が映画『氷雪の門』だったことを聞いたので、是非『氷雪の門』と稚内市訪問について講義をお願いします」と依頼をいただきました。
この依頼をいただいたのは、今年8月にコンサートの応援で言ったときの挨拶がきっかけです。
映画「氷雪の門」を観て第二次大戦で起きた南樺太の出来事を知りました。それから樺太に最も近いわが国最北端の市である稚内市を訪れるようになりました。稚内公園や樺太記念館には「九人の乙女」の石碑や記録があるので、わが国の記憶から消えないように引き継がれています。ただ稚内市以外での記憶が薄くなっていることや、知られていないことを感じているので、僕が知ったことを可能な限り伝えるようにしています。
毎年のように稚内市を訪れているのは「九人の乙女」の歴史を語り継ぐためです。またこの稚内市を訪れていることがきっかけとなり樋口季一郎中将のことも知りました。わが国を救った樋口将軍のことも調べているところです。
と挨拶の中で触れたのです。
そこから今回の「講義をお願いしたい」という依頼につながっています。今週、映画「氷雪の門」と南樺太で起きたことを話す予定です。