エネルギー研修会二日目を迎えました。テーマはわが国の電力事情と原子力発電、最終処分についてです。
わが国のエネルギー需給率は約13パーセントで、国民生活、産業に必要な電力を安定供給できるエネルギー事情ではありません。むしろ世界でも有数な脆弱な国なのが現実です。
原油価格の高騰、ロシア、そしてサハリンから天然ガスの供給がストップされると、忽ちエネルギー事情は不安定になります。必要な資源を確保することが生活や経済の安定のために必要なことです。まさにエネルギー問題は国家安全保障だといえます。
青森県六ヶ所村にある国家石油備蓄基地に備蓄されている石油は日本で必要な量の10日分だと聞きました。たった10日分の備蓄しかないことに驚いています。きわめて世界情勢に左右される不安定なエネルギー事情であることが分かります。数字は分かりませんが、国と民間を合わせても必要な石油量の1年分もないのではないでしょうか。わが国の繁栄の基礎は豊富で安価なエネルギーにあったのですが、もはやそんな時勢ではなくなっているのは明白です。
私達の生活も産業も安定して安価な電力が基になっています。しかし最近は電力不足、電力料金の高騰など生活や産業に影響が表れてきました。所得が上がらないのに物価が上昇していることや、電気料金が上がっていることで生活は厳しくなっています。
またハイテク企業や情報産業を誘致しているので分かることですが、日本の電力料金が高すぎて「日本への進出の弊害になるレベル」に至っています。電力多消費型の産業、つまりハイテク産業にとって日本は進出条件が合わない国になっているのです。令和3年まではこんなことはありませんでした。広大な土地とインフラ整備が行われていれば進出条件を満たしていたのですが、今では電力価格が進出の条件として問題になっています。
このことは企業誘致の協議の中で昨秋から分かっていたことですが、顕在化したのは令和4年に入ってからです。
わが国全体のエネルギーのあり方を考えるために今回研修を行ったものですが、わが国のエネルギー基盤は脆弱で不安定にも関わらず、安定供給の基盤を考えることなく真夏に節電を呼び掛けるなどをしています。国民生活、産業界のことを考えると、賛否はあってもわが国のエネルギー事情を説明して国民である私達に判断する材料を提供して欲しいと思います。
今回のエネルギー研修会はエネルギー問題に関心のある皆さんに呼び掛けて実現したもので、二日間、一緒に研修を受けたものです。
参加してくれた一人の方は「参加して良かったと思っています。電力のことは日常あまり考えていませんでした。私はボランティアで語り部をしていますが、和歌山県の歴史を説明するときに今回学んだエネルギー問題を少し説明しようと考えています。知ることと考えることが大事なことだと思います。エネルギー問題は大きなテーマなので自分で何もできないとしても、知った人が説明すること、聞いた人は考えることで自分の意見を持てると思います。それが国民理解につながると思います」と話してくれました。
また別の参加者は「若い人は絶対に説明会に参加して現実を聞くべきです。将来、自分達の問題になるものなので、若い人がエネルギーに関心を持つべきだと思います。私も若い皆さんに伝えますが、国や電力事業者はエネルギー問題を多くの人に説明して欲しいと思います。高レベル廃棄物の処分問題は年配者ではなくて若い人の将来に関わる問題だと思います」と話してくれました。
こんな意見を聞かせてもらえることが、直接会って説明機会を持つ研修会の良さです。二日間の研修会に参加してくれた皆さんに感謝しています。