夏日が続いていることなどから電力不足が報道されています。東京電力管内では予備率が約3パーセントになることから、政府や電力会社から節電の呼びかけをしているところです。今さらながらですが、電力は安定供給が最重要課題であることが分かる事態になっています。豊富な電力を安価で提供することが電力会社の役割なのですが、電力自由化以降、本来は電力には馴染まない価格競争になったことから発電設備の補修費の削減や老朽化した火力発電所の廃止などによって電力不足が現実のものになっています。
石油火力や石炭火力の廃止や原子力が稼働していないことから、先進国ではあり得ないような電力の事態が生じているのです。先進国の定義のひとつに安定した電力供給体制があることがあると考えています。さすがにわが国では大規模停電はないと思いますが、政府が節電要請するような社会になっていること事態が異常だと考えています。
これでは工場が稼働できない、社会が必要としている生産活動ができないなどの不安があります。エネルギー資源のないわが国がエネルギー供給を安定させるためには電源の組み合わせが不可欠ですが、LNG火力と水力、そして再生可能エネルギーなどに偏りつつあることがエネルギー供給の不安定さを増しています。
急きょ、東京電力では火力発電所を稼働させる体制に入っているとも聞きますが、それでは環境問題との関係をどうするのかの問題があります。環境問題よりも経済活動を優先させることを政府が要望しているのなら、今と将来の経済活動に不安を残さないエネルギー供給体制を整える必要があります。
石油ショックや3.11などの時期を除けば、先進国であるわが国が電力不足に陥った時期は記憶にありません。これは電力体制に問題があることを政府は早急に検証して対応すべきです。エネルギーは国策であり設備産業ですから、巨大な投資と設備の維持のための資金が必要となります。電力は国の安全保障のひとつなので、政府は電力会社にはその設備投資と維持、そして安定供給が求められているのです。
ところが設備を持たない新電力が誕生したことも安定供給面での不安を表面化させたのです。設備を持つ電力会社は発電設備などを維持するための投資を抑えるようになり、また比較的発電コストの高い火力発電を廃止することになりました。その結果、猛暑も関係しながら電力不足が表面化しているのです。
そして電気料金には「再エネ賦課金」が加算されているので、電力使用量によって異なりますが、1年間で1万円を超える負担をしている家庭があります。電力不足と電気料金が高くなっている事態にあるのがわが国です。繰り返しますが電力会社は安定供給と安価な電力を提供することが旧来からの使命です。電力自由化の下、その使命を果たすことが難しくなると共に、自由化という経済優先の政策により使命が薄められているように感じます。
豊かな社会と経済力が世界に誇るわが国の「売り」です。エネルギー不足は豊かさと経済力を低下させる作用がありますから、一体、日本はどの方向に向かおうとしているのか疑問に感じます。電力供給を不安定にさせ電気料金を高くすることにつながっている現実があります。産業活動にも影響を及ぼしていますし、既に新産業の進出にも悪影響を与えています。データセンターやハイテク産業は大量の電力を必要としますから、電力不足と電力料金の値上げは、新規立地や日本への進出を減速させる作用があります。
ハイテク産業の誘致は国策であり、時代が求めているデータセンターの建設に関しても、この状況では「建設や進出はできない」事態になろうとしています。事実「日本の電力供給は大丈夫ですか」「足りていますか」「単価が高くなっているので、今の単価であれば採算が取れないです」「安い電源はありませんか」と問い合わせが来ています。
これでは経済を停滞させるとともに、ハイテク産業を誘致しようとしている世界との競争に敗れてしまうことになります。残念なことですが、ハイテク産業やAI技術などの分野で世界より劣っているわが国は、次世代の産業を強力に誘致しないことには将来はありません。
21世紀、そして令和の時代に電力不足、そして政府からの節電要請があるとは想像していませんでした。それは日本が先進国であると思っていたからです。基幹産業の重要性を重んじることなく電力改革を進めてきた政府の責任もあると思います。早急に自由化の検証を行い、こんな事態に陥ることがないように対応すべきです。
ただし「今日、100円ショップに行ったところ節電して店内が暗くなっていました。節電に協力している会社であるお店だと思うと、この会社の印象が良くなりました」と意見を聞かせてもらいました。節電に協力することは印象が良くなり、格好が良いと評価される価値が生じていることも記しておきます。
みんなで節電に協力して今夏を乗り切りましょう。
- 東京から訪ねてくれた方と、首都圏の経済情勢を聴かせていただくなど情報交換を行いました。
- 洋上風力発電の将来のあり方について協議を行いました。今夏のような電力不足が常態化することになれば、本当にわが国は先進国とは言えなくなります。地球温暖化対策につながる発電方法を考えると、現状では同発電方式が適していると考えます。
- 令和の時代にあって市内に建築できない場所があることを知りました。これまで対応してきましたが、行政と関西を代表する建築家の意見から、建築基準法に基づいて永遠に建築できない土地であることが分かりました。住宅地にある活用できない土地。夏のミステリーのようです。
- 和歌山県への投資案件について協議を行いました。世界からは「和歌山IR」断念のイメージがある県なので、それを払拭するための説明を行っています。「和歌山県では何があったのか」「国の方針に基づいた案件を採択しなかった理由を説明して欲しい」「投資銀行のレターは和歌山県では信用されないのか」などの質問があります。
- 和歌山市から紀南に至るビジネスと観光に資する構想の説明を行い、その後協議をしました。今こそ和歌山県全体にとって将来性のある構想が必要です。
- 健康維持、身体の機能維持に資すると思っている健康体操のあり方に関して話し合いました。