「一つのことを続けている人は信用できる人だ」と話がありました。どんな些細なこと、小さなことであっても、一つのことを続けられる人は信用できる人だということです。
その事例として取り上げたのが「毎日、朝4時に起きて誰も出社していない事務所の掃除をしている人」「毎日、朝4時に起きて、今日一日の感謝の気持ちを届けている人」の二人です。
どちらも周囲から見ると大変なことですが、やっている本人は「当たり前のこと」だということです。それは習慣になっているので周囲が思うほど「大変なことではない」と本人は思っているので続けられるのです。
それは「朝起きたら歯磨きと洗顔をするでしょう。どんなに疲れていても朝起きたら歯磨きと洗顔はやっていると思います。それは習慣化しているからです。この行為を疲れているから『面倒くさいなあ』と思う人はいないと思います。誰でも習慣化しているから続けているのです。もし歯磨きと洗顔が『これは大変なことだ』と思っているなら、それは習慣になっていないので継続できないのです」。
この方は「片桐さんも日々の出来事や活動内容をホームページに書いているでしょう。これも続けることは大変だと思われているでしょうが、本人は当たり前のことではないですか」と話があったので、「その通り、今では日課になっているから大変なことではないです」ということになります。
続け始めたときは「大変なこと」と思うものですが、続けている間に「当たり前のこと」へと変化しているのです。習慣化することが継続する力であり、そこまでいくとやることが当たり前のことになっているのです。この当たり前のことになっていることが周囲から見ると「凄いこと」となります。
また当たり前のことを実行している人は「たいしたものだ」と言われるのです。一昨日話を交わしたある実業家は「飛行機はビジネスクラスを利用しません。ホテルも普通のホテルですし、VIP対応は利用しません」と話してくれました。十分なステイタスがある人なので空港でもホテルなどどんな場面でもVIP扱いを受けられる人ですが、「特別な扱いは私にはまったく興味がないです」と話してくれました。
僕は「凄い恰好いいですね」と伝えると、「僕にとっては当たり前のことですよ」と答えてくれました。そして「でも実は良いことがあるのですよ。僕のことを知っている人は、飛行機のエコノミーを利用していることや特別扱いを好まない行動を知っているので、逆に『凄い人だ』『良くできた人だ』と評価を受けているのです。特別扱いを断っていることで信用と言う大事なものを得られているのです」ということでした。
自分では当たり前と思って行動をしていることが周囲から見ると「凄い人」になっているのです。当たり前のことを継続することの凄さ、当たり前の力や継続する力は凄い力を発揮していることが分かります。
自分が可能と思うひとつのことを継続すること。それが凄いと思われる力であり、信用力を高めてくれるのです。どんなことでも、やろうと覚悟を決めたならやり続けることができます。ひとつのことを1年、2年、5年、そして10年と続けていると習慣化してしまいますし、周囲からの評価を高める要因になります。尤も、周囲からの評価を高めるために続けているのではなくて、続けていることが評価になっているのです。
「やれるか、やれないか。それはやるかやらないかの違いだけです。やれるのは覚悟があるからです」と懇談の席での話です。若い頃は社会が見えていないので「どこに覚悟を持つか」さえ分からなかったのですが年齢を重ねてくると、ある程度社会が見えてきます。「どこに焦点を当てると上手くいくのか」を予測できると覚悟を持つことができるのです。
ただし年齢と共に「無鉄砲な戦いは意味がない」ことも分かっているので、勝てる方法を仕込むことが戦略となります。若い頃の戦い方と年齢を重ねてからの戦い方には違いがあり、それを理解した行動が勝つために必要なことだと思います。