和歌山市内の建築やリフォーム会社の方が事務所を訪ねてくれました。「今でも感染症が減少していないことで仕事に大きな影響があります。全く仕事がないので、現在の状況としては止まってしまったのです。公共工事も減っていますし民間も動いていません。会社を設立してから厳しい時はありましたが、こんな環境は初めてのことです。今までは仕事が落ち込んだときでも、数か月先の仕事の目途は立っていました。今回は全く様子が違って、春以降の仕事の依頼や、見積りの要請もありません。先が見通せない環境は初めてなので、会社を続けていけるのか分かりません」という話を聞かせてもらいました。
一議員が仕事を創り出すことはできないので直ぐにお役に立てることはありませんが、中期的に仕事を創り出す県である必要があります。仕事がない県からは会社は存続できませんし、支店や営業所は和歌山県を去ることになるからです。
仕事がないことは「従業員の生活に責任を負っているので、社長として『仕事がない』会社にしてはいけないと思っています。責任者として社会的責任を果たせなくなります」と語ってくれました。
確かに、僕が聞いている限りにおいて大きな民間投資はありません。和歌山県経済の実態はよくないのです。コロナ禍において、企業に対して運転資金の融資はあるとしても設備投資に向ける融資は少ないはずです。事業継続のための融資だけでは積極的な経済活動につながりません。
地方都市において市場を創り出すことは困難なので、市場が拡大している業種の企業に来てもらうことや、市場を世界にも求める以外に方法を考えることはできません。只でさえ少子化と高齢化によって国内市場は縮小しています。そこに円安で物価が上昇していますから消費も増えることはありません。
また別の会社の経営者からは「冗談ではなくて、もう会社がいつ潰れてもおかしくない環境です。この先を見通せる仕事がないのです。公共投資も細っていますし、民間投資がないので地域が動いていないのです」と話してくれました。
金融操作による経済対策は国策であり和歌山県ができるものではありません。公共工事も通貨も増やせないのであれば、民間投資を生み出す以外に方策はありません。この状況で大型の民間投資が可能な企業は和歌山県にはありませんから、外部から来てもらう以外にありません。和歌山県はその取り組みをすべきですし、可能性がある案件には積極的な支援が必要です。
ある地方自治体の幹部職員さんは「企業に来てくれるための支援は最大限に行います。企業が来てくれるほど地域再生と経済対策につながる施策はないからです。企業を訪問することはもちろんのこと、案件に対しては全力で誘致を行っています。それぐらいしなければ企業は来てくれません」と話してくれたことを思い出しました。
地方自治体では企業誘致は最大の取り組みのひとつですから、和歌山県も可能性に立ち向かうべきです。不安があれば会って話を聞けば良いだけです。「その話は本当だろうか」と思うなら、やはり会って計画を確かめればよいのです。コロナ禍で会えなければリモート会議を行えばよいのです。相手と話をする方法はいくつでもありますから、企業に来てもらうためにやる気を持つだけです。
今の時代、企業誘致をしていない府県はありません。企業誘致は府県間競争ですから「絶対に来てもらう」という気持ちと行動が必要です。不安や疑いによって来てもらえる機会を逃すと、その機会は再び訪れることはありません。