加太中学校で「陸奥宗光外務大臣」に関わる授業に参加しました。この授業は「陸奥宗光外務大臣の功績を教育に生かす実行委員会」の事務局長が授業を担当して実施したものです。
授業では外務大臣の功績を歴史的に見ること、そして後を託された人物の功績にも触れるなど、歴史の勉強になるように工夫を凝らした内容になりました。
例えば、身近な話題として岡公園に植樹されている外務省から寄贈を受けた桜の木が切り取られた事件を取り上げ「木が切り取られたけれど根が残っていたので新芽が生えてきた」ことを紹介しました。そこから「桜も人間も同じです。根がしっかりとしていれば成長できるのです。『根性がある』と言葉として使われますが、これは根がしっかりとしていることを示したものです」と話しました。
人の生き方として陸奥宗光伯に学び、性根を入れて勉強も学校生活も過ごして欲しいと思います。
ところで僕から生徒の皆さんに伝えたことは次のことです。
陸奥宗光外務大臣は和歌山市出身で皆さんの先輩です。後に外務大臣なった人ですが、陸奥さんはどうしてもやり遂げたいことがありました。それは明治時代の日本は欧米の国々から見下された国だったのです。それは江戸時代に結ばれた不平等条約が新政府になっても生きているため、対等な国と看做してくれなかったのです。この条約を撤廃して欧米と平等な国になることを目指していたのです。世界の国々と対等になるには先進国の仲間入りをしなければならなかったのです。
さて陸奥宗光さんはみんなも知っている坂本龍馬さんの弟分でした。海援隊で龍馬と共に活躍したので視点の先には世界がありました。龍馬の意志を継いだ人物として新政府に参加し、二人が目指した新国家の基礎を創ろうとしたのです。
皆さんには故郷の偉人のことを学んでもらって、和歌山県は優れた人を輩出した誇れる県であると感じてください。日本を近代国家へと導き発展させた基礎を創ったのが陸奥宗光さんなのです。この次の世界を築くのは皆さんたちなのでその功績と生き方をしっかりと学んでください。
今回の授業では、不平等条約があることで日本が苦労してきたこと。それを撤廃することがわが国の悲願であったこと。多く人が関わってきた中で陸奥宗光外務大臣のときにその一部を撤廃することができたことから、最終的に全ての不平等条約が撤廃された歴史について説明がありました。
歴史は多くの人が関わって築かれています。坂本龍馬の意志を受け継いだ陸奥宗光伯、そしてその意志を受け継いでくれた小村寿太郎外務大臣など、人は次の世代の人達に大事なものを受け渡していきます。受け取った人は時代を担っている責任を持ってこの国を、そして社会を良くさせようと行動してきたのです。その長い歴史を受け継いで歴史の最先端にいるのが私達です。生徒の皆さんは歴史を学び、学んだ偉人の生き方を参考にして自分の行動につなげて欲しいと思います。
授業を終えて高校の同級生だった神崎先生と懇談し、正門の横に植えられた二本の桜を鑑賞しました。この桜は外務省から寄贈を受けたもので、神崎先生は「地域の皆さんにも成長していく姿を見てもらおう」と思って正門の横に植樹をしたのです。丁度、その横には今から55年前の加太中学校の卒業生が植えた桜の木が成長した姿を見せてくれています。15歳だった当時の卒業生が植えた桜が現在55歳になって今も学校に根付いているのです。
この外務省からいただいた二本の桜も成長しているので、やがて大木となって加太中学校を見守り続けてくれるものと信じています。人も桜も成長し、後の人達に大事なことを伝えていきます。
「根っ子がある限り成長できる」そんなことを語ってくれたように感じます。