活動報告・レポート
2022年3月2日(水)
神崎健二八段
神崎健二八段

日本将棋連盟の神崎健二八段が県庁を訪ねてくれたので、懇談する時間をいただきました。神崎八段は向陽高校卒業生であり、そのご縁で今日の懇談が実現したものです。八段は高校を卒業した後に本格的にプロ棋士の道へと進まれていますが、中学校一年生の時に奨励会に入り、プロ棋士を目指すことを決めていたそうです。奨励会からプロ棋士になるまで約10年を要したそうで「プロの道は厳しい」と思います。

またこれまで県内の加太中学校や伊都高校の授業で講義をしたことがあることも聞きました。これは将棋の魅力を伝えることや関心を持ってもらうことにつながることから引き受けているようです。

またこれまで和歌山県で開催された将棋イベントでは、ゲストとして来県していることも知りました。将棋にまつわる楽しい話を聞かせていただき、興味は尽きませんでした。

和歌山県と将棋ですが、アバローム紀の国や高野山で名人戦の大局があったことを聞きましたし、谷川浩司永世名人や羽生善治九段も名人戦を戦ったことがあると聞きました。

江戸時代には「和歌山城の殿様の御前で将棋が開催されたこともあるのでは」との話も伝えてくれました。

話題の藤井五冠の話です。藤井五冠の強さは、基本がしっかりしていることだそうです。

基本が出来ているから応用力を発揮できる棋士であり、スポーツに例えるなら「下半身がしっかりしている」という感覚だそうです。「神の領域に到達している棋士だと思っています」と話をしたところ、「基本が出来ているから強く、詰将棋の訓練をして基礎力があるので強いのです」という答えでした。やはり基本が出来ていることが実力を伸ばす秘訣だと思いました。

そして先の王将戦で藤井五冠は渡辺名人に4連勝しましたが、これは「後世に残るような凄い将棋を指しています。藤井五冠の指し手はAIが指したように見えるほどのもので、凄い指し手です。こんな局面になったのは渡辺名人の実力も最高位であることを表している証拠です。将棋は実力者同士が戦うときに歴史に残る局面となります。藤井五冠の局面が凄いのは渡辺名人が相手だったからです。実は王将戦は紙一重の戦いでどちらが勝ってもおかしくないほどの戦いでした。もし私が藤井五冠と対局していたら、このような凄い局面になっていないと思います」と笑いながら説明してくれました。

興味深い話は続きます。将棋とAIです。10年ぐらい前にAIがプロ棋士を超えたので、 プロ将棋は成り立たなくなると言われた時期がありました。ところが棋士がAIを活用することで実力を高めていくことになりました。今の将棋はプロ棋士がAIの棋風を取り入れて混合させたものであり、そのレベルは一段と高まっています。

AIが導入された分野の仕事はなくなると言われていますが「果たしてそうだろうか」と思っています。AIが導入された将棋の世界では「プロ棋士はいらなくなる」と言われたものですが、今も高いレベルで対局を続けています。AI社会の先駆者が将棋の世界であり、将棋とAIの関りを研究すると未来の社会が予測できるのです。棋士の視点から、これからの世の中で起きることを話すこともできますと話してくれました。

AIと築く未来の世界の話を聞きたかったのですが、これは講演会の場で聞かせてもらうことにしました。とにかく人がAIを使いこなすことで、より良い未来社会に向かうことができるということです。

そして「中将棋」についても教えてもらいました。初めて聞く言葉ですが、これは室町時代に誕生して江戸時代に公家を中心に広く遊ばれた将棋のことだそうです。

駒で珍しいのは「麒麟(きりん)」や「鳳凰(ほうおう)」です。将棋にはない駒で、敵側から数えて4段目に入ると「成る」ことができます。「麒麟」や「鳳凰」が成れば凄い力を発揮する駒になるそうです。普段はそっとしていますが、大いなる力を秘めているのが「麒麟」や「鳳凰」の駒だと聞いて、「人の成長する姿に似ているな」と思うとより興味深くなりました。