活動報告・レポート
2022年2月12日(土)
珈琲の樹
珈琲の樹

お世話になっているオーナーさんのコーヒーのお店が「珈琲の樹」です。令和3年11月に再オープンし、本格的なコーヒーがいただけるので通の人が集まっています。「まん延防止」の考え方や「まん延防止等重点措置を終えた後の飲食店のあり方」などの打ち合わせを兼ねて訪ねました。お店の近くに住んでいる友人にも呼び掛けて「障がい福祉」「企業誘致」「ペットボトルの廃棄物の減量」などをテーマにした会議を行いました。

ブレイクタイムとして「珈琲の飲み比べをしてください」と案内をいただき、数種類を味わってみました。その中でも特別なものが「ブルーマウンテンNO1」です。

このコーヒーは、産地であるジャマイカのブルーマウンテン山脈の標高800メートルから1200メートルのエリアで栽培されたコーヒー豆だけに認められたブランドです。ブルーマウンテン山脈のこのエリアは険しい斜面の山岳地であり、1日の寒暖差が平均8℃以上の場所なのでコーヒー豆が引き締まることから味にコクが生まれるそうです。

加えてブルーマウンテン特有の霧がコーヒーの木に適度な水分を与え、弱酸性の土壌、豊富な雨などの環境に恵まれているのが標高800メートルから1200メートルのエリアだと聞きました。そのためこれより低い場所でも高い場所でも「NO1」のブランドは与えられないそうです。

珈琲の樹

「ブルーマウンテンNO1」の他にNO2やNO3などがあるそうで、コーヒー通の人に店内から電話で聞いたところ「現在、NO1を飲めるお店はほとんどありません。NO3でも飲めるお店は少ないですよ。現在、ブルーマウンテンの流通量が極めて少ないので、仕入れることが出来るお店は希少です」と話してくれました。

この「ブルーマウンテンNO1」の味を表現してみると「透明感を感じるクリアな味。透き通ったような味覚」があります。NO3と飲み比べてみたところ、NO3の方はNO1と比較してコクがあり、味と香りは深い感じがしました。透明感のある香りはNO1が勝っていて、比較すると薄く感じられました。お酒でいうと「上善水の如し」と言われるように、「きれいな空気と水を吸い込むような感じがあります」ということでしょうか。

喫茶店で「ブルーマウンテン」を注文しても、多くのお店では「NO1」は使われていないぐらい入手することは困難だそうです。特に近年はブルーマウンテン山脈にも地球温暖化の影響を与えているようで「収穫量が減少していることや品質にも影響を与えている」ようです。

また「ブラジルサントスNO2」についても教えてくれました。ブラジルのサントスはコーヒーの産地ですが、ここでNO1コーヒーが「サントスNO2」なのです。つまりサントスにNO1は存在していないことになります。その理由は、「欠点豆のないコーヒー生豆がこの世界には存在しない」ので完全な「NO1」はありえないということです。ですから産地として最高の品質のコーヒーを「NO2」と評価しているので、「サントスNO2」がナンバーワンの品質のコーヒーだということです。

またこの解釈として「ブラジルのサントスではNO2が最も品質の良いコーヒー豆という評価づけをしていますが、これは『将来、これを超えるコーヒー豆を世に送り出したい』と思う気持ちがあるからだと思っています。これまでの世代でNO1を決めてしまうと、後の時代の人がNO1を市場に出せなくなってしまうので、空き番号にしていると思っています」と話してくれました。

珈琲の樹

確かにすべてを完全なものとして評価を固めてしまうと、後の時代の人は先の時代の人を超えられなくなってしまいます。後の時代の人が先の時代の人を超えていくことが進歩ですから、NO1を空き番号にしているのは「私達を超えてみろ」というコーヒー栽培の達人達からのメッセージかもしれません。そう考えると、どの分野でも人は時代が進むにつれて進歩していくものだと感じます。先の時代の人達で評価を固めてしまってはそれを超えることができなくなるので、未来の達人のために席を用意しておくことは良いことだと思います。

科学や物理、スポーツや芸術、政治も含めてコーヒー栽培の世界でも、時代の進展に伴って達人、名人、スターが登場するでしょうから、先人を超える機会があることが望ましい姿だと思います。