活動報告・レポート
2022年2月5日(土)
インフレ局面
丹生都比売命のレリーフ
丹生都比売命のレリーフ

和歌山県庁の正面玄関を入ったところにある中央階段の踊り場の壁に、和歌山県出身の彫刻家である保田龍門作のセメント製「丹生都比売命」のレリーフが飾られています。

丹生都比売命とは、太陽神である天照大神の妹神で、朱砂 (すさ)、水銀 (ミズガネ)の女神とされています。保田龍門氏は「古事記」から和歌山県に縁の深い「丹生都比売命」のレリーフを作成して県庁に飾られ現在に至っています。和歌山県庁を訪れた際には、故郷の彫刻家のこの作品を是非ともご覧ください。

故郷の偉人に関するご意見

先般、お話しした翌日にNHKで勝海舟の石碑が番組で取り上げられていたのは、偶然というか、必然だったのでしょう。ようやく歴史の価値観がわかる人が出てきたことに歓迎します。

また、南海和歌山市駅前の銅像の件、話題にしていただきありがとうございます。

ただ、一人お忘れの人がおります。伊達宗広・陸奥伯のお父さんです。和歌山は日本一の低文化地帯なので話題になりませんが、紀州藩勘定奉行という正職と別の「顔」として国学者、仏教学者、易学者、和歌などに長けた文化人として超一級の方ですから、文化力の高い地域なら今も英雄的存在に扱われていると思います。

勝海舟、坂本龍馬、陸奥宗光、徳川治宝、伊達宗広(千広)の5人が南海和歌山市駅前に銅像として建立されれば、和歌山そのもののイメージが変わります。悲しくなるくらい非文化地帯なので、5人の銅像の件は、夢のまた夢です。

という意見です。

インフレ局面

今春から食料品などの値上げが相次ぐ予定であり、その背景に原油価格の上昇と円安からのエネルギーコスト上昇があります。さらに米国FRBが利上げに踏み切るとの推測があることから、実施されるとさらに円安に誘導されることになります。原油高と円安によって物価が上昇局面に入りますが、企業の収益は改善されないため(ただし企業の内部留保は取り崩さない前提)、賃金があがらないけれど物価が上昇する「悪いインフレ」スタグフレーションの可能性も否定できなくなってきます。

では普通国債残高はというと令和3年度末で約990兆円となっています。しかし日銀は10年国債利回りを0%程度に抑えているため、国債の利払いは発行残高の1パーセント未満に抑えられている状況になっています。このことから日銀はインフレに向かうとしても、金融引き締め、つまり利上げは避けたい状況にあると思います。

データとして内閣府の今後の成長実現ケースとしての潜在成長率が2%程度で消費者物価が前年度比+2%を前提としたものを参考にします。令和12年度の10年国債利回りが1.4%になると想定すると利払いは約9兆円。成長実現ケースの場合、10年国債利回りが2.7%に上昇するとして利払いは約13兆円になります。国債の利払いが1パーセントから上昇することによって金利負担が増えるので、そのまま財政負担に直結することになります。

この見通しからすると金融引き締めができませんし、現在の経済状況から金融引き締めをすると直ちに今の景気(決して良いとは言えない)を後退させる恐れがあり、日銀は利上げができないと思います。

日本は世界的なエネルギー価格上昇と金融緩和による円安、欧米の金融引き締めに対して日銀は金融緩和できない状況のため、今年も円安傾向が続くことになりそうです。金融政策が使えない中、果たして生活に悪影響のない程度で物価上昇を抑えられるのか、動向を注視したいと思います。

一方、コロナ禍から企業の雇用を守り失業率を上昇させないための「雇用調整助成金」は、失業率の上昇を抑える成果がでていると思います。失業率を抑えることが政府の経済対策の最大の目的ですから成果が出ていると評価できます。問題は「雇用調整助成金」の期間を終えた後の令和4年度の企業業績です。コロナ禍だけではなく、世界レベルで人々の価値が変化している中、果たして同じように企業活動が継続できるかです。

地球環境問題への対応とグリーンエネルギーの導入、脱化石燃料に向けた企業活動と製品の対応などが求められるので高コスト経営が余儀なくされることになります。企業は雇用を維持しながら価格維持と新しい技術の導入が求められることになります。世界は欧米基準で競争させられているので従わざるを得ませんが、改めて人材と技術力で対抗していく覚悟を示すべきです。